ビジネス

2017.01.21 11:00

僕がチョコレートの国際コンクールに挑む理由/小山 進

小山 進(写真=岩沢蘭)


だから最近は、賞を獲りたいという気持ちよりも、「こんな味があるんだ」「こんなものを合わせようとするのか」と、審査員に新たなマリアージュを体験してもらいたくて出品しています。彼らの経験や知識、味覚が増えれば、その分コンクールの質が上がる。チョコレート業界や日本に貢献する一つの方法だと考えています。
advertisement

その上で大事にしているのは、自分でやるべきことをきっちりやってコンクールに臨むことです。

1年かけて貯めたアイデアを作品に落とし込んでいく中で、「自分が今何に興味を持っているのか」がはっきりし、その作品たちを通じて自分が世の中に伝えたいことが、自ずと見えてきます。それがテーマとなり、方向性が定まり、あとはそこから湧き出るイメージをつなげることで、審査員たちに向けたストーリー性のある企画書ができていきます。

僕は時間をかけて考えて、試行錯誤して、完成形までもっていくプロセスが好きなんです。一方他国では、企画を立てて新作を作るような人は少なく、店頭に並んでいるチョコレートから出品作を選ぶ人が大半です。
advertisement

今の時代は、お客さん自身、自分が何を欲しいか分からない、迷っていることが多々あります。特に日本人のお客様は、求めるクオリティが非常に高く、厳しい。だから、その想像の上を行くような作品を提案し、「私が欲しかったものはコレだ」と言わせてあげるのがプロ仕事です。僕らクリエイターは、ものすごく勉強して、楽しく表現しなければならない。

つまり、創り手にとっては、“日常”がコンクールです。僕の場合は、美味しいのは当然で、「あの人のチョコレートを食べると元気になるよね」と言っていただきたいと思っています。

歳を重ねて、「2〜3年前の作品の方が良かった」と言われるのが嫌なので、今年は新作を65種類も作ってしまいました(笑)。次回は、新作で実現したかったマリアージュと、創作の裏話をお話しします。

編集=筒井智子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事