「20歳を過ぎてしまったらすべきこと」 メタップス佐藤航陽社長

メタップス代表取締役社長 佐藤航陽 (photographs by yOU (Yuko Kawasaki))

大学1年生で起業、AIを活用したサービスを展開し、アジア市場を席巻中の佐藤航陽氏。ユニークなアイデア創出の鍵は、徹底した時間管理と常に限界に挑む姿勢にあった。

起業してから今年で10周年を迎えます。事業は、個人的には仕事というよりも探究といったほうが近いですね。自分の知りたいこと、やりたいことを、思いついては試してみる。“ひとり遊び”を繰り返している感じでしょうか。

そういう気質は小さいころからです。いわゆる地域のガキ大将で、勉強はあまりしなくて、体育と美術が得意でした。母の教育方針は「何をするのも自由だが、すべての結果は自己責任」……というとカッコいいかもしれないけど、ある意味放任主義(笑)。でも、おかげでやりたいことをやれた。

中学生のときにはゲームや小物を友達と売り買いして日銭を貯めたし、高校ではアパレル稼業といったら大げさですが、自分で服や靴をデザインして、割と本格的に稼ぎました。

「これをやらなければいけない」という枠組みを人生で感じたことがないんです。日本の教育は、枠組みを決めて「これをしなさい」という方針なので、もともともっていたはずの感性が失われてしまうのだと思う。やはり本人のやりたいことを尊重していかないと、感度の高い子どもは育たないのではないでしょうか。

友人や仕事仲間、社員を見て痛感するのですが、20歳を迎えるまでにどんな環境で生きてきたかは非常に重要です。そこである程度は、習慣とか勝ちパターンが決定されてしまう。20歳を過ぎてしまったら何をしたらいいか……? そうですね、私がこの世でいちばん価値のあるものは「時間」だと思います。

時間は増やすことのできない通貨のようなもので、だらだらと日々を無為に過ごしていたら、「貯金が半額になった!」くらいのダメージではないかと。いまはApple Watchを使って「31歳まであと何日」というのを表示しています。社長室のカレンダーにも毎日×をつけていく。あとは1年前、3カ月前に自分が何を考えて、いまと何が変わったのか、心情の分析もします。

人間は空間の認識能力は優れていますが、時間の認識能力はそれに劣る。でも訓練次第で磨くことができるし、そうすれば無為な日々は送らないで済む。実際、私はApple Watchのおかげで時間にかなり鋭敏になりました。
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構成=堀 香織

この記事は 「Forbes JAPAN No.30 2017年1月号(2016/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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