インフルエンサーマーケティングの定義はあいまいで、影響力を持つ人物(インフルエンサー)による公式推薦や、商品のさりげない宣伝も含まれる場合がある。
これを、高校生活に置き換えて考えてみよう。学校の廊下を歩いていたあなたは、人気者の女子グループとすれ違う。この女子グループはいわば、インスタグラム上で多数のフォロワーを持つカイリー・ジェンナーのような存在だ。
あなたはすれ違いざまに、「このファッションノバのジーンズ、すごく気に入ってるの!」というカイリーの言葉を耳にする。するとあなたは、誰もまだ知らないことを知ったような感覚に襲われる。カイリーが愛用し、クールだと思っているアイテムについて、自分は知ることができたのだ、と。
これはインスタグラムで実際に起きたことだ。低価格ブランドのファッションノバと提携したカイリーは、上述のコメント付き写真を投稿。デザイナーブランドを着なくとも、ファッションノバさえ着れば自分をスーパースターのように見せることができる、というメッセージを送ったこの投稿には、220万件の「いいね」が寄せられた。
この例は、ブランド各社が今、大金を払ってまで手に入れたい物は何かを良く示している。それは、多数の消費者に対する「露出」だけではない。もっと重要なのは、インフルエンサーとの「関連付け」だ。
これは、超人気セレブから、小さくニッチな世界のリーダーまで、あらゆるレベルで起きている。小規模な企業や店舗でさえも、対象市場に数千人のフォロワーを持つソーシャルメディア上のインフルエンサーに大金を払っているのだ。
企業はインフルエンサーを通じて、望み通りの消費者層(商品に対する関心が既にあり、注目を得られる可能性が高い人々)に的を絞った露出を実現できる。これはテレビ広告とは反対の効果だ。テレビコマーシャルはもはやバックグラウンドノイズと化しており、CMが始まるやいなや携帯電話を取り出す人は多いのではないだろうか。