この対戦は世界で最も視聴された対戦の1つと言えるが、少なくとも550万人が違法なライブストリーミングサイトを通じて観戦したという。この数字はコンテンツ保護を専門とするVFT Solutionsが122のライブストリーミングをサンプルに試算したものだ。サンプルでは最後まで試合を観戦した場合のみがカウントされているため、実際の視聴者数は数千万人単位に上ると見られている。
違法ライブストリーミングは、メディアやエンターテイメントの分野において2016年最大の著作権侵害問題と言える。特にスポーツでは熱狂的ファンが手段を選ばずにお気に入りのチームの試合を見ようとするため、違法視聴行為が横行している。筆者は以前、NFLの視聴率に関する記事で、VFTの試算ではNFLの試合の違法ライブストリーミングは毎週50万件ほどあると述べた。サッカーほどの被害ではないが、増加傾向にあるためいずれNFLの運営機関の目に留まるはずだ。
違法な視聴が増えると正規の放送の広告の価値を下がり、テレビ局自体が被害を被ったりすることになる。残念ながらペリスコープやフェイスブック・ライブ、Youtube Liveで違法ストリーミングを視聴している人々は違法性に気づいていないため、試合の情報が共有されれば気軽に視聴してしまう。これは特に大きな金額が動くエル・クラシコで顕著だ。
フォーブスが発表した2016年の最も価値が高いスポーツチームのリストでは、レアル・マドリードが36.5億ドル(約4,163億円)で2位、FCバルセロナは35.5億ドル(約4,049億円)で3位に入っている。この2チームもライブスポーツの将来が違法ライブストリーミングによって左右されるような多大なリスクを伴う状況を好まないはずだ。