ビジネス

2016.12.13

150万DLの大ヒットアプリ、NHK「プロフェッショナル 私の流儀」はなぜウケた?

2016年の正月にリリースされた「プロフェッショナル 私の流儀」


制作者にとっては当たり前と思っていた番組のフォーマットに、実は大きなニーズがあったわけです。思い返せば自分たちも、上司の送別会や同僚の結婚式に散々パロディを作っていました。「プロフェッショナル 結婚の流儀」とか言って。完全に灯台もと暗しです。

そして、Webにたくさんあがっているパロディ動画を見ている時にふと思ったんです。「ひょっとして、みんな番組の主人公になりたいって気持ちあるのかな?」と。その瞬間、アプリのコンセプトが決まりました。

「誰でもプロフェッショナルになれるアプリ」。

誰もが簡単に、番組の主人公になった気分を味わえる。「これはワクワクするし、元気が出そうだし、自分も欲しい」と思うと同時に、大学生やサラリーマンが、飲み会や送別会で楽しそうにアプリを使って動画を作って遊んでいる絵が浮かびました。

さらにターゲットである10~40代は、年代が若ければ若いほど自撮りも当たり前で、ツイッターやフェイスブックといったSNSやYouTubeにアップすることにも抵抗がありません。そんな時代背景も追い風になるに違いないと思いました。

そして、最後までこだわったのは“ホンモノ感”でした。これはアプリ制作を担当してくれたDigiBookのプロデューサーや番組制作チームと侃々諤々やりました。せっかく番組自らがパロディを公認するんです。絶対にしょぼいものにしたくはないし、ユーザー全員に“番組の主人公”気分になって欲しい。「誰でもプロフェッショナルになれるアプリ」。ただそれだけを目指して、ディテールにこだわり抜きました。

さて、いよいよできあがったアプリを、在宅率の高い正月を狙ってリリース・・・すると、ツイッターに続々とコメントが流れ始めました。「さらっとこんなアプリ配信しているNHK最高!」「このアプリNHKがらみにしてはセンスありすぎ」「NHKなにやってんだwwwww」。

僕が知る限り、プロフェッショナルがこんな形でイジられたことはありません。嬉しかったです。中でも感動したのがこんなつぶやきでした。「アプリがあまりに面白すぎて、正月からヨメやムスメと盛り上がってます」。プロフェッショナルが、家族のコミュニケーションのツールになっているなんて・・・。

茶の間という概念がほぼ失われつつある今のテレビにおいて、こんなことがあるなんて信じられませんでした。嬉しくて嬉しくて、僕の人生で、あれほどスマホを見つめ続けた正月はありませんでした。

興奮しすぎて、ずいぶん長く書いてしまいました。でも、これで終わりじゃないんです。

「話が長くても、やめない勇気」

ムダに句読点を打ったりすると、ちょっと流儀っぽくなるのでおすすめです。次回は、アプリの“意外な使われ方”についてお話させていただきます。

文=小国士朗

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事