米誌「サイコロジカル・サイエンス」に先月掲載された調査によると、自身をアッパークラスに属していると考える人々は、資産が少ない人に比べ、周囲の人に意識が向いていないことが明らかになった。研究者たちは特権的ポジションを通じて形成された、“認識や注意に関する自然発生的なプロセス”により、金持ちが他人を“スルーする”傾向があると分析する。
研究を実施したニューヨーク大学のチームは、「個人の財力によって安定が保証された人々は、他人を報酬や脅威と関連づけて捉えにくく、注意を払わなくなる」と指摘する。
研究者は仮説を実証するため、グーグルグラスなどのデバイスの視線トラッキング技術を用い、被験者が他人にどの程度注意を払っているかを分析した。アッパークラスにいると考えている人は、それ以下のクラスにいると思っている人々に比べ、他人を見ている時間が短かった。
今回の実験結果は、人々の他者に対する認識が、“動機付けとの関連性”に直接影響を受けることを示唆しているという。筆頭研究者のピア・ディーツェは「調査結果から、下流の人々の方が、上流の人々より他人をよく見ていることが明らかになった。ほかの文化的属性と同様に、ソーシャルクラスも知らず知らずのうちに、情報処理に影響している」と語った。