つまり従業員はプログラムに参加するだけで、インセンティブを受けることができるのだ。これは参加人数を増やすにはとてもいい方法であり、人々に「一歩踏み出させる」方法だ。だが多くの場合、参加者は二歩目で足を止めてしまう。
さらにこの方法では雇用主が参加者数だけを気にかけ、参加者が実際に健康増進に取り組んでいるかどうかは重視していないとも見えかねない。それは良くない。
参加ベースのプログラムは、手始めとしてはいいかもしれないが、多くの従業員が最小限のことしかしないのが問題点だ。
よりよい解決策
健康の本質に焦点を当てつ、全ての人を参加させるようなもっと良いプログラムがある。それは筆者が“エンゲージメントベースの健康維持プログラム”と呼ぶものだ。人々にやる気を起こさせ、適切な認識ももたらすことができる。ただ、もう一歩踏み込む必要がある。
そしてそのもう一歩が、従業員の健康的なライフスタイルを手助けするのだ。このプログラムは、参加よりもエンゲージメント(熱心に取り組むこと)に重点を置き、従業員側にさらなる努力と投資を求めるからこそ効果的なのだ。その投資によって、やる気がより本質的なものになる。
エンゲージメントベースのプログラムでは、参加者は1つか2つの条件を満たすのではなく、継続的にプログラムに関わり続けなければならない。
筆者の会社でもこのプログラムを実践している。従業員は1年を通じて、インフルエンザの予防接種、関連書籍の読了、地域のイベントに参加などをするごとにポイントを獲得する。そのポイントに応じて見返りが提供される(つまり従業員は健康のために投資をしなければならない訳だ)が、理想の数値を達成する必要はない。成果重視型と参加型のいいところを集めた、長期的な成果をもたらすプログラムなのだ。