だが、この例え話の問題点は、カリフォルニアは火星ではなく、私たちが必要とする食物を栽培するのに適した地球上にあるということだ。火星には液体水が存在するとみられる一方で、ろ過して取り除く必要がある過塩素酸塩やその他の不純物も存在する。大気が希薄だということだけでも、火星は農業の成功に適していないといえる。
「火星の人」は何を食べる?
今後10~20年の間に火星への“定住”を実現しようと計画するのであれば、新たに生み出される「火星の人たち」は、何を食料にするのだろうか?恐らく当初は、ワイル・ラボラトリーズ(Wyle Laboratories)などをはじめ、宇宙食を生産する企業に数多くの事業を委託することになるのだろう。
同社は昨年、米テキサス州ヒューストンにある米航空宇宙局(NASA)のジョンソン宇宙センターが進める全ての有人宇宙飛行計画に、向こう5年間にわたって食料と医療サービスを提供することで契約を結んでいる。
火星の人たちが作物を育てるための巧みな方法を確立するまで、必要な食料を火星まで輸送することは技術的に可能なのだろうか?
この質問に対し、マスクは答えを明らかにしていない。ただ、楽観的ではあるようだ。講演会では、火星に「初のピザ店を作りたいという人はいるか?」と尋ねていた。