1996年以降に生産された車には、故障診断システム(OBD)が搭載されており、ドングルを使えばインターネットに接続することができる。幾つかのプラットフォームや製品が、市場での主導権やベンチャーキャピタルからの多額の支援を競い合っているが、普及率が一気に跳ね上がる分岐点、クリティカルマスに達した製品は今のところまだない。
こうした中、米テキサス州ダラスに拠点を置くスタートアップ、車のスマート化を目指す「ビンリ(Vinli)」が、競合他社との差別化と目標達成を実現する可能性を高めている。
中古車にドングルを標準装備
同社は先ごろ、中古車販売と自動車ソフトウェア・ソリューションの提供などを手掛けるコックス・オートモーティブと契約。コックスのコネクテッド・ディーラーシップ・プログラムの一貫として、4万近いディーラーからなるコックスのネットワークを通じた製品・プラットフォームの提供を行うことで合意した。
ビンリのドングルは、2つの役割を果たす。故障診断に加え、使用すれば車内は T-モバイルの4G LTEワイヤレスサービスにより、常時接続が可能なWi-Fiスポットとなる。アプリやテレマティクス・サービスなどを利用できるようになるのだ。
ビンリのドングルはデータプラン込みで、小売価格199ドル(約2万円)前後。コックスはビンリの製品を標準装備として搭載した車の販売も行い、ビンリ製品の代金込みの車両価格の分割払いを可能とする。
軸足をソフトウェアプラットフォームへ
ビンリは今後、OBD向けのドングルにとどまらず、ソフトウェアプラットフォームの提供に軸足を置いていきたい考えだ。今回のコックスとの提携により、ビンリにはさらなる潜在的な成長力がもたらされることから、さまざまなモデルの車をターゲットとしたいデベロッパーたちにとっては、ビンリのプラットフォームの魅力は一層高まると考えられる。