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2016.09.18

女性が男性よりも不眠がちになる理由は「体内時計の設定」にあった

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女性は男性よりも不眠に悩まされる傾向があり、年齢を重ねるとその傾向はさらに顕著になるようだ。だが性別による違いの理由は、はっきりとは解明されていない。

新たに発表された研究では、通常の条件下における男女の睡眠・覚醒サイクルを検証。健康な個人の差を理解することで、なぜ女性の方が睡眠に問題を抱える傾向にあるのか、なぜ男性よりも早く目が覚めるのかについて、多くのことを明らかにしている。

カナダのマギル大学が実施したこの研究では、男性15人と女性11人に、研究所で36時間を過ごしてもらった。参加者は「うたた寝」の環境下に置かれ、照明を明るくしたり暗くしたりすることで1時間ごとに睡眠と覚醒を繰り返すようにされた。

研究チームは、参加者のメラトニン(睡眠ホルモン)のレベルを測定。ほかにもどれだけ覚醒しているか、どれだけ眠気を感じているかなどの自覚的な可変要因を測定した。女性については、性ホルモンが睡眠の質に影響を及ぼす可能性があるため、月経サイクルのうち2つの期間で調査を行った。

研究の結果、女性は男性よりも睡眠サイクルが早い段階から始まることが分かった。つまり女性の方が早い時間に眠気が訪れ、また男性よりも夜間の覚醒レベルが低い傾向にあったのだ。

米国科学アカデミーの機関誌で、研究者らは「同じような睡眠スケジュールの場合、女性は体内時計の設定が原因で、男性よりも眠りにつくのも目が覚めるのも早いことが分かった」と報告した。

「理由は簡単だ。女性の体内時計は男性よりも、東方寄りの時間帯にずれているからだ。女性が男性よりも睡眠障害に陥りやすい理由を理解するには、この男女差を理解することが重要だ」と、研究報告の著者ダイアン・B・ボイビンは述べた。

研究では、そのほかの理由も示された。女性は早朝の時間帯、体内の“睡眠の合図”が男性ほど強くないことが判明。これが、女性が男性よりも早い時間に目が覚める傾向が強い理由かもしれない。このことはまた、シフト勤務が男性よりも女性の健康に悪影響を及ぼす理由も浮き彫りにしている。過去の研究でも、夜間シフトの労働は男女のいずれにも数多くの健康上のリスクを招くものの、女性によりリスクがあるようだという結果が示されている。

夜にきちんとした睡眠をとるにはどうしたらいいのかについては、今も研究が続けられている。だがおそらく、疲労を感じたらすぐに(可能であれば)寝るのが賢明だろう。当たり前のアドバイスに思えるかもしれないが、私たちの多くは“睡眠の合図”を無視し、起きている時間をできる限り引き延ばそうとする。

また、これもよく言われることだが、就寝時間が近づいたらコーヒーやアルコールを飲まず、電子機器のスクリーンから離れるようにすること。スクリーンから発せられる光は、睡眠サイクルを乱すことが分かっている。さらに女性の場合は、自分の身体の感覚と、それに影響を及ぼす外部からの可変要因に特に注意を払う必要があるかもしれない。

編集=森 美歩

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