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2016.09.12

結婚式を「社会貢献イベント」に変える、女性起業家の挑戦

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非日常空間で結婚式を行なう「デスティネーション・ウェディング」のスタートアップ企業を運営するベス・ヘルムステッターは、500億ドル(約5.1兆円)規模と言われるウェディング業界に慈善活動の概念を導入しようとしている。

ヘルムステッターによると、結婚式は募金活動には最適なイベントだという。「ウェディングやライフスタイルの業界では、開発途上国の生産者たちの持続的な生活を支援する活動が活発になっている」と彼女は話す。

結婚式を挙げるカップルが友人や家族に募金を依頼することも可能だが、プロセスをより簡便にするために、ヘルムステッターは寄付のポータルサイト「The Good Beginning」を開設した。

これは欧米では一般的な「ウェディング・レジストリ」の仕組みを使って寄付を募るサービスだ。通常のウェディング・レジストリでは、カップルが欲しいものリストを作って友人や家族に伝えるが、The Good Beginningでは生活用品の代わりに130ものNPOが登録されており、これらの中から共感する団体に寄付をする仕組みになっている。

The Good Beginningのサイトには簡単なナビゲーションバーがあり、登録されているNPOの活動内容が紹介されている。カップルは登録されているNPOの中から自分たちの結婚式用にいくらでも選択することができ、新たに追加することも可能だ。また、寄付状況はダッシュボードから確認することができる。

これまでにもNPO向けのクラウドファンディングサイトは存在したが、ヘルムステッターは機能面で改良が必要だと感じていたという。「大手のサービスは、大口の寄付金を集めるのに適しているが、小口の寄付金を多く集めて管理するのには向いていなかった」と彼女は話す。このため、これまではカップルが寄付してくれた人にお礼をしようと思っても、誰がいくら寄付してくれたかを把握するのが困難だった。

ヘルムステッターは以前から社会奉仕活動に取り組んでおり、2010年のハイチ地震の際には現地に赴いてボランティア活動を行った。そうした経験が元になってThe Good Beginningを立ち上げることを思い立ったという。The Good BeginningはNPOの精査から寄付の管理や寄付金の配分まで全ての作業を行う。これまでにThe Good Beginningは1万4,000ドルの寄付金を集めた。寄付金の90%以上はNPOに渡り、サイトはわずかな手数料を徴収してスタッフの人件費や運営費に充てている。

「寄付を募ることは簡単ではない」とヘルムステッターは言う。カップルの親の世代には、寄付をするよりも何世代にも渡って使える生活道具をプレゼントしたいと考える人が多いそうだ。「そうした考えを変えることも、我々にとって重要なミッションだ」と彼女は言う。

The Good Beginningでは、家具や生活道具といった通常のウェディング・レジストリとNPOへの寄付を組み合わせたサービスも提供しているが、シーツや食器をもらうことよりも慈善活動を選ぶカップルが多いという。

アメリカでは毎年200万人が結婚している。「The Good Beginningの活動を通じて結婚式の招待客たちに新たな社会貢献のあり方を普及させたい」とヘルムステッターは述べた。

編集=上田裕資

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