ヒラリー・クリントン自身の言葉を借りれば、「(女性の昇進を阻む)ガラスの天井に最も大きなひびを入れた」のだ。
男女平等の実現に向けた重要な節目を喜ぶ米国人たちがいるのはもっともなことだが、世界的にみると、この点においては米国が先頭に立っているわけでない。それどころか、実際には改善すべき点が数多くある。
連邦議員に占める女性の比率、米は96番目
米国は政権トップだけでなく、議会レベルでも女性の参画が遅れている。各国の国会議員による国際的な交流組織、列国議会同盟(IPU)がまとめた報告書によると、米連邦議会の全議席数に占める女性議員の割合は、下院が434議席のうち84議席(19.4%)、上院が100議席のうち20議席(20%)にとどまり、国別ランキングでは96位となっている。
また、米国より女性議員の割合が高い国は、欧州35か国、アフリカ25か国、アジア16か国などとなっている。また、このランキングをみると、アフガニスタン(50位)やアラブ首長国連邦(UAE、74位)、サウジアラビア(91位)など、男女平等の実現が進んでいるとは考えられていない国も、米国より順位が高いことが分かる。
また、世界の20か国・地域ではすでに、女性が元首(大統領など)や政府トップ(首相など)国のリーダーの地位に就いている(君主は除く)。世界で初めて女性国家元首が誕生したのは1940年。トゥヴァ人民共和国(現在はロシア連邦を構成するトゥヴァ共和国)のヘルテック・アンチマ・トカが、最高会議幹部会議長に選出された。そして、1960年代後半になると同時期に複数の女性リーダー(首相)が誕生(インドのインディラ・ガンジー、イスラエルのゴルダ・メイアなど)した。