ビジネス

2016.08.19

健康的な食で世界をつなぐ![ウーマン・イノベーターズ04]

グローブキャラバンの寺脇加恵 代表取締役兼エグゼクティブシェフ

自分らしくキャリアを積み重ねている女性たちに同一の質問をし、その共通点やオリジナリティを探る連載「ウーマン・イノベーターズ」。第4回は、アパレルでの起業を経て飲食業へと転向、世界各国料理のケータリングと店舗開発で引く手数多の「グローブキャラバン」代表取締役兼シェフの寺脇加恵さんに直撃。今もビジョンとして抱く、子供の頃に憧れた世界観とは? ビジネス感覚を養ってくれた両親の教育、挫折を乗り越えた術を聞いた。

Q1. 現在のお仕事について教えてください。


企業のレセプション、ウエディング・パーティなどに無添加調理の世界各国料理を提供するケータリング、飲食店舗のメニュー開発、フードイベントの企画運営などの飲食事業を手掛ける会社「Globe Caravan」で経営とシェフ業を兼務しています。

また、 財団法人International Women’s Club Japan(IWCJ)で副理事とシェフを務めており、都内の各国大使館とタイアップし、世界のどこでも生きていける自立心を育むための子供向けの食育、国際多様性の教育イベント「リトルアンバサダー」の運営をしています。

現在までに65か国の大使館との実績があり、大使公邸料理人のいない国の料理人を務めることもあります。先日は、眞子内親王の初の海外務先である、エルサルバドル共和国の在日本大使公邸訪問の際、眞子様と大使の会食にてエルサルバドル料理のランチョンをご用意しました。

Q2. 今のお仕事を選んだ理由はなんですか?

飲食業の前はアパレル事業の会社を経営していました。もともと旅が好きだったことと、アパレル業の仕入れを兼ねて60か国ほどを回る中でいろいろな国の食文化に触れ、いつか食を通してその国の文化を伝えられるような仕事に携わりたいと思っていました。

飲食業に転向し、ケータリングを選んだのは、日本での市場規模に成長の見込みはあるものの、当時まだプレイヤーが少なく、大手資本にとっては参入するまでの市場ではないこと、立ち上げに必要な資本は小額であり、売上の回収サイクルが早いことが理由でした。

また、アパレル時代のデザインセンスを生かして「会場装飾まで手がけること」で、エッジを立てることができると考えたからです。

財団の活動により様々な大使館との繋がりや知見があったことから、世界各国料理の調理法を組み合わせてテーブルや空間をデザインするケータリングを打ち出すことにしました。

店舗開発は、ケータリングを気に入ってくれたアパレル企業様から「飲食業に進出したいのでメニュー開発もお願いしたい」という依頼を受け、広がっていった形です。

Q3. これまでのキャリアの経緯を教えてください。

大学3年の時に、初めて行ったパリで魅せられた「ハイヴィンテージ(オートクチュール部門をもつファッションブランドなど高単価のヴィンテージ)」を扱うアパレル業として、アメリカで法人を設立しました。

1950年代以降のディオールやサンローラン、シャネルなどのヴィンテージアイテムを扱っていたのですが、一流のファッションアイテムの原泉を10年間扱い続けたことで、何十年何百年と続くブランドとはなにか、デザインとはなにか、という本質的な感覚を体得できたと思います。

その後飲食業へ転向し、IWCJ財団の設立に関わり副理事になりました。

ケータリングはゲスト数30人〜500人規模の案件が多く、約1000件の実績があり、料理だけでなく、イベント趣旨に沿ったデザイン性の高い会場装飾の作り込みを得意としています。サービススタッフが和装でサーブをしたり、サーカスの団員風のメイクやファッションに身を包むなど、非日常感の演出のためのカスタマイズ提案に好評をいただいています。

店舗メニュー開発は40件ほどの実績があり、大学生が起業体験をするためのレストランをベトナムのホイアンで立ち上げたり、日本の複数のラーメン店をまとめた店舗の立ち上げをシンガポールで行うなど海外案件も手がけています。

現在は、各国大使館との仕事で、日本に飲食店がない国のメニューを開発するレストランの立ち上げや、一部出資をして取締役となり、長期的に案件に関わる店舗開発のプロジェクトに取り組んでいます。
次ページ > テレビは1週間に1番組だけ––

編集=Forbes JAPAN 編集部

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事