Q9. 女性だったことでハンデはありましたか?
寿司懐石業態のメニュー開発のお仕事をした時に、「女が寿司屋の厨房に入るなんてありえねえ」と言われたことがあります。
飲食業、とくに寿司業態が男社会なのは知っていたのですが、寿司以外の料理をもっと繊細に改善することで、そのお店のクオリティが上がることは明白だったため、どうやったら認めてもらえるか、という方法を考えました。
築地市場での仕入れ時に同じお店で買い続け、魚の旬など毎回必ず質問して知識を増し、同等の会話を目指す。店舗開発の際は、独立志向を持った職人さんとの雑談で、独立後に役に立つような情報を伝え続けて仲良くなるというコミュニケーションをすることでスムーズにいくようになりました。
Q10. 逆に、女性だから得したことはありましたか?
ケータリングも店舗開発も、コモディティー関係の業界では消費者が女性であることが多く、女性ならではの、五感をフルに使う観察力や総合的な表現力が活かしやすい職業です。また、飲食業は男性社会だからこそ、女性で頑張っていることがいい意味で目立ち、注目してもらえるような気がします。
Q11. 人間関係で気をつけていることはなんですか?
弊社の新規案件は90%以上がご紹介によるのですが、新しくお仕事をするお客様には、受注している業務範囲を超えて、「こんな要素があったら、もっとブランドやイベント、製品のクオリティが高まるのでは」というブランディング、マーケティング面の提案も積極的に行うようにしています。
また突発的なトラブルは公私を問わず、こちらが拾える限界までカバーするようにしています。言われたことだけに反応するのではないやり方で、存在価値を見てもらいたいと思います。
Q12. あなたを今一番モチベートさせているものは?
結局のところ、幼少期に憧れた映画の中のような世界を作りあげたい、という思いがずっと続いているのだと思います。仕事では、ブランディングやマーケティング手法とデザイン、料理を組み合わせて、クライアントのブランドをより引き立てるような空間を作り上げることに喜びを感じます。
また、子供の頃に親や周囲から受けた“知的好奇心を育む体験”にとても感謝しているので、次世代の子供達にそれを伝えたいという思いがあります。家庭や学校以外で子供の活動を見る大人役として、どのように子供に接したらその体験を生み出せるか、という視点で財団の活動を行っています。
その際に気をつけているのは、子供のように柔らかく未来を見ること。好奇心や本能のもとに行動し、自分の可能性に制限をかけないように意識しています。子供に学びの機会を提供をしているようで、かえって自分が学ぶ機会を与えられているように思います。