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フォーブス ジャパン副編集長 兼 ウェブ編集長

京都大学名誉教授 西村和雄氏(写真=藤井さおり)

英教育専門誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」が選ぶアジア地域の大学ランキングで、発表開始以来3年連続で首位を守ってきた東京大学が7位に陥落、昨年9位だった京都大学も11位と順位を落としたことで、教育界に衝撃が走ったことも記憶に新しい。

京都大学名誉教授で、神戸大学社会科学系教育研究府特命教授の西村和雄氏は、学力の低下は今に始まったことではないという。また、この状況が続けば、さらに日本経済は弱いものになっていくと指摘する。処方箋はあるのか? 西村氏に聞いた。

谷本有香(以下、谷本):西村先生は、日本がどんどん貧しくなっていると指摘されています。

西村和雄(以下、西村):経済学的な考え方が浸透していない結果だと考えています。一人当たりの国民所得も随分下がってきましたし、労働生産性が下がっている。

今、日本の大学ランキングが下がってきていることが話題になっていますが、論文数と被引用数、引用されている数で、中国にはあらゆる分野で圧倒されていて、日本の人口の半分ほどの韓国にも、分野別に見ていくと相当抜かれているんです。これが日本の技術力、それから競争力の低下になって、大学のランキングの低下になったのではと思っています。

その結果として、シンガポールと香港の大学の助手の給料、講師の給料、助教授の給料、教授の給料は日本の2倍なんですよ。アメリカの大学の助手の初任給は日本の教授、私の定年前の教授の給料より高い。日本はそれだけ貧しくなっています。

谷本:もはや日本は豊かな国とはいえなくなっているということなんですね。

西村:経済成長をしてないということが問題なんです。では、これから経済成長をするために何をしたらいいのか? 労働生産性を上げていくしかない。それは論文の数、論文の引用される数、それが影響するんです。

どうしてこうなっているのか、なぜ労働生産性が低くなっているのかというと、人が正しく評価されていない。正しい評価をしようとしていないということだと思います。仕事に対しても、学力に対してもそう。

たとえば、きちんと研究費を充てるにふさわしい研究だと評価できていないから、十分な資金がいかない。また、研究の重要性への認識不足から、雑事などをさせられ過ぎ、研究に没頭できない。そのような結果が論文数の減少につながり、研究や技術が進まず、生産性の低下となっていく。

私は99年に『分数ができない大学生』(東洋経済新報社)を出版しましたが、有名大学の学生が小学校の算数ができなくなっているのは、きちんと評価をしてこなかったからだと、この当時から警鐘を鳴らしているのです。

谷本:文系の学生対象の調査だから、算数や数学といった計算ができなかったということなのですか?

西村:違います。確かに当時、最初に調査をしたのは文化系の学生だったのですが、次の年には理科系の学生に実施しました。すると、理科系の学生も惨憺たる結果だったんです。

日本で最も偏差値が高い国立の難関校、ノーベル賞を出している東と西の学校でもそうでした。当時のその難関校の先生方は「このままだとまずい」とおっしゃっていましたが、それが、今の40歳くらいの中堅の技術者になっている。

また、2年前に、日本の大企業に入ってきたばかりの技術者に調査をしたんです。50歳の技術者に解かせれば、みな満点を取れるような、小学生や中学生レベルの簡単な問題です。それが入ってきたばかりの若者は半分くらいしかできなかった。

文=谷本有香

 

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