位置情報を利用したソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を提供するフォースクエア(Foursquare)によると、その答えは「悪影響」だ。フォースクエアは、同社サービスとアプリ「スウォーム(Swarm)」を利用している約5,000万人の地域共有やチェックインの情報を追跡・記録している。その記録から、トランプが保有するホテルへの人の出入りや、周辺での人の動きを割り出すこともできる。
同社はこのほど、同候補が2015年6月に共和党の大統領候補に名乗りを上げて以降の、トランプ・ブランドのホテルやカジノ、ゴルフコース周辺の人の移動に関する情報を分析。候補指名争いが始まって以来、客足が減少していることを確認した。この傾向は特に、伝統的に民主党が強い「ブルー・ステート」で顕著だった。
2015年8月には、トランプ・ブランドの施設への来客数は前年比17%の減少を記録。その後は毎月、前年同月比で一桁台のマイナスという水準で推移したが、今年3月には再び、同17%減となった。また、「ブルー・ステート」のうち、ニューヨーク、ニュージャージー、イリノイ、ハワイの各州では今年7月、前年同月比20%の大幅な減少となった。
一方、共和・民主両党の支持率が拮抗(きっこう)する「パープル・ステート」では、より月ごとの変動が大きかったものの、ブルー・ステートのような急激な落ち込みはなかった。
ブルー・ステートでの客足の落ち込みについてさらに詳しくみると、女性客の減少が特に目立つ。2015年7月からの一年間には、前年比で26%減った。この結果は多くの女性たちに、これまでのトランプの女性に関する発言と、それに対する女性たちの拒否感を思い出させるのではないだろうか。世論調査の結果でも、女性10人中7人はトランプに対し、批判的な感情を持っていることが分かっている。
フォースクエアが追跡したのは、移動に関する情報のみであり、トランプ・ブランドの施設の売上高については確認が取れていない。実際に減少しているのかどうかは不明だ。また、トランプ・ブランドの施設が全て、ドナルド・トランプの所有という訳でもない。
客足の減少は、多くの人たちによる意思表示の結果かもしれない。だが、それは必ずしも、トランプに経済的な打撃を与える結果にはなっていないかもしれない。