米ヤフー崩壊の舞台裏、11年前の「アリババ株取得」が命取りに

ヤフーの共同創業者のジェリー・ヤン(2008年1月撮影、Photo by Ethan Miller/Getty Images)


ヤフーはシリコンバレーでの競争から脱落する中、1年以上前からアリババ株の処分方法を模索してきた。株価は四半期決算の内容よりも、アリババ株の処分計画に反応して上下した。マリッサ・メイヤーCEOはモバイルアプリや動画広告、SNSなど本業の再建に力を注いだが、投資家の関心を引くことはできなかった。

ヤフーの取締役会は、アリババの持ち株を非課税でスピンオフして新会社に移管する計画を立てたが、IRS(米内国歳入庁)の承認を得ることができずに土壇場で断念した。この計画を破棄した段階で、ヤフーの命運は尽きた。

投資家からプレッシャーを受ける中、非課税でアリババ株を分離できる唯一の方法であるブランドと中核事業の売却を実行する以外にヤフーに残された道はなかった。そして数回の入札を経て、ベライゾンへの売却が7月25日朝に決定された。

ジェリー・ヤンがスタンフォード大学の学生時代に立ち上げたディレクトリサービス「Jerry and David’s Guide to the World Wide Web」としてスタートしたヤフーは、22年の歴史に終止符を打つ。ビリオネアとなったヤンは、自らが主導し、大成功を収めたアリババへの出資が期せずしてヤフーの不幸な結末を招いたことをどう思うのだろうか。

編集=上田裕資

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