世界3位のモバイルゲーム市場である日本への進出にあたり、運営元のナイアンティックは入念な準備を進めているようだ。世界30カ国で公開中のポケモンGOにはユーザーが殺到し、サーバー障害の発生も報告されている。
7月20日に日本公開が予定されたポケモンGOは、提携先の日本マクドナルドの社内メールの流出により、その計画が延期。急激な注目度の上昇により、さらなるアクセス集中の懸念も高まったと伝えられる。しかし、日本経済新聞の報道では、7月21日にはアプリの公開が期待されている。
爆発的な集客力が期待
ポケモンGOは任天堂、株式会社ポケモン(任天堂が32%を出資)、ナイアンティック(Niantic)の3社が共同開発したゲームだが、彼らはこの前代未聞のゲームから、どのように収益を生むのだろう。売上の柱の一つはアプリ内の課金アイテムだが、今後の期待されるのがリアル店舗からのスポンサー収入だ。AR(拡張現実)を用いたポケモンGOには、企業や広告業界関係者からも新たなビジネスチャンスとしての期待が高まっている。
日本マクドナルドは日本で最初の公式スポンサーとなり、全国3000店舗を「ポケモンジム」として提供する。従来は駅や公園などの公共スポットが指定されるケースが多かったポケモンジムが、マクドナルドの店舗内に指定されることで、爆発的な来客数の増加が期待される。プレイヤーらは店舗内でポケモンのバトルを行ない、商品の購入を行なうだろう。
今回の取り組みは、スマホの位置情報を用いた広告ビジネスが初めて、大規模に実施される事例としても注目だ。広告業界では、位置情報ベースの広告が今後最も成長が期待される分野と見なされていたが、これまで目立った成果をあげられなかったのが現実だ。しかし、ポケモンGOとマクドナルドの連携により、ようやくその威力が発揮されようとしている。
任天堂とナイアンティック、マクドナルドの3社の取り組みの詳細は明らかではないが、ナイアンティックCEOのジョン・ハンケはフィナンシャルタイムズの取材で、今後の広告ビジネスへの取り組みについて述べていた。店舗のオーナーらは、来客数に応じて広告料を支払う。また、従来のクリックベースの広告料支払いも可能になるだろう
店舗側としては、ポケモンGOの「ポケストップ」や「ジム」は金の卵だ。ニューヨークのあるピザレストランの場合、ゲーム内で10ドルの課金を行ない、ポケモンのキャラクターを店内に出現させたところ、来客数が75%も伸びたという。
ニューヨーク・ポストの取材に対しオーナーは「驚くほどのお客さんが店に来てくれた」と述べた。
ナイアンティックは2013年に本格始動した位置情報ゲーム「イングレス」で、既に同様な広告ビジネスを展開。健康ドリンクのスムージーのチェーン店「ジャンバジュース」やドラッグストアチェーンの「デュアンリード」などと提携し、ゲームの集客活用を行なってきた。
ポケモンGOの大人気により任天堂の株価は急騰し、今やその市場価値は420億ドル(約4.5兆円)以上。ソニーの時価総額、400億ドル(約4.3兆円)を突破している。