アップルミュージックもTidalも、有名アーティストの独占配信に力を注ぎ、有名デザイナーをキュレーターに起用する等の努力を重ねている。スポティファイも自動リコメンドの仕組みを導入し、お薦めのプレイリストの配信を定期的に行なっている。
音声コンテンツは動画に比べ、あらゆる場面で利用可能でジョギングや料理の合間にも聴取できる点もメリットだ。スポティファイは「スポティファイ・ランニング」という機能でこのトレンドに乗り、ユーザーがモバイルで音楽にふれる機会をさらに拡大しようとしている。
今回のニュースを音楽業界におけるビデオの衰退と解釈する向きもあるが、YouTubeやVevoといったプラットフォームは依然、堅調な成長段階にあり、スポティファイやアップルミュージック、Tidalらも動画コンテンツの配信に乗り出している。一方でYouTubeは新たに課金サービスYouTube Redを立ち上げた。動画は衰退しておらず、音声サービスと動画サービスの融合が進んでいるのが現状だ。
BuzzAngleのCEO、ジム・リデストリはフォーブスの取材に対し「音声ストリーミングは確かに急拡大しているが、今後も今のような勢いで規模を拡大するとは考えられない」と述べた。
シングルの売上はアルバムの9倍
ニールセンとBuzzAngleのリポートは、音楽のデジタル消費が「細切れ」に向かっていることも浮き彫りにした。音楽のデジタル消費は全体的には減少傾向にあり、特にアルバムの売上は年を追うごとに縮小している。2015年下半期は9.2%の減少、2016年上半期は9.4%の減少となっている。
一方で、シングルの売上はアルバムを圧倒的に上回っている。今年上半期のデータではその差は約9倍。シングルの売上は4億1,050万ドル(約413億円)だが、アルバムの売上は4,590万ドル(約46億円)にとどまった。