学生発、シンギュラリティ大学も認めた「自閉症」支援ウェアラブル

Courtesy Awake Labs

自閉症スペクトラム(ASD)の子供は、興奮したり「メルトダウン」(癇癪)を起こしたときに自分の感情をコントロールすることが困難なため、家族のサポートが不可欠だ。そこで、自閉症の子供を持つ親のために、メルトダウンが起こる予兆を知らせ、予防するウェアラブルデバイス「Reveal」が開発された。開発元企業はクラウドファンディングサイトの「Indiegogo」でキャンペーンを実施した。

Revealを開発したアウェイク・ラボ(Awake Labs)は、カナダのブリティッシュコロンビア大学に在籍する学生たちによって設立されたスタートアップ企業。Revealはフィットネストラッカーのようにユーザーの心拍数や体温、発汗量をモニタリングし、不安やストレスの高まりを察知する。保護者は専用アプリでデータを見て、わが子にいつどのようにメルトダウンが起きるか把握することができる。

「我々は子供たちの問題行動を減らし、改善トレーニングの時間を増やしたいと考えています。これが実現できれば、家庭や教室、日常生活の中で非常に大きな変化をもたらすことができます」とアウェイク・ラボの共同創業者でRevealのデザインを手がけたアンドレア・パーマーは話す。彼女は機械工学を学ぶ学生だ。

シンギュラリティ大学の選考会で優勝

Reavealの開発には、ウェアラブルセンサーによる皮膚電気や自律神経の活動のモニタリングや、センサー技術等の最新の科学研究が活かされている。パーマーらは、シンギュラリティ・ユニバーシティ主催のピッチコンテスト「Canadian Global Impact Competition」に参加し、コンセプトの革新性や、ASDの子供とその家族らに与えるインパクトの大きさが高く評価されて見事に優勝を飾った。

チームは当初、ストレスレベルの高い仕事に従事する人向けのデバイスを開発しようとしていたが、研究を重ねるにつれてASDの子供の生活を大きく変える可能性に気が付き、方針を転換した。現在は自閉症の子供がいる家族を対象に製品のモニターテストを行っているが、神経過敏やストレスや不安に悩む大人たちもRevealに高い関心を示しているという。

「ASDだけでなく、一般的な不安や脳性まひ、境界性パーソナリティ障害、認知症など、様々なケースでRevealを使いたいという問い合わせがありました。現在行っているモニターテストが終了したら、アルゴリズムの有効性を試してASD以外への適用を図っていきたいと考えています」とアウェイク・ラボで製品開発の責任者を務めるポール・フィジャルは述べている。

「簡単に使えて科学的にも正確なツールを開発することはとても重要です。そのために、我々は臨床医や介助者、教育の専門家などの支援を受けながらアルゴリズムの精度を高め、異なる環境でRevealの効果を精査しています」とフィジャルは話す。

編集=上田裕資

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