調査会社J.D.パワーが同調査を開始して以来、高級ブランドに分類されないブランドがトップになったのは27年ぶりのことだ。だが、調査結果を注意深くみれば、「キア」が1位になったのは意外なこととは言えない。
起亜自動車は昨年、セダン「オプティマ」やハッチバックの「ソウル」、SUV「スポーテージ」、高級セダン「カデンツァ」の機械系統やスタイリング、フィット&フィニッシュ(ボディ各部の接合)に大幅な改善がみられたとして、「非高級車ブランド」部門で首位になっていた。また、同系列でプラットフォームやデザインセンター、部品その他を共有する現代自動車よりも、高い評価を得ている。
今回の調査の結果、納車から90日以内のモデル別「100台当り不具合指摘数(PP100)」で起亜は83となり、ポルシェを1ポイント上回った。PP100の業界平均は105。数が少ない方が高評価となる。
自動車情報サイト、オートトレーダー・ドットコム(Autotrader.com)の上級アナリストであるミシェル・クレブスは、起亜はこれまでも価格以上の価値を提供してきたと指摘。「一般消費者に手が届く価格で、多くの機能を搭載した最高品質の車を提供することは可能だ。起亜はそれを実証している」と述べている。
ホンダへの評価に驚き
ホンダと同社の高級車ブランド、アキュラは長年、品質と信頼性において高い評価を維持してきた。しかし、今回の評価ではそれぞれ、33ブランド中のランキングが24位、25位に下落した。
前出のクレブスは、ホンダは短期間に数多くの新モデルを発表しており、それが原因の可能性があるとみている。ただ、両ブランドともに、インフォテインメント、テレマティクスのシステムでも評価が高くない。
一部のブランドが業界全体の平均的な品質向上に貢献した一方で、特に高い品質を売り物にしたいはずの高級車ブランドの一部が、高まる圧力にさらされている。アウディ、メルセデス・ベンツ、キャデラック、ジープのスコアは平均以下。ボルボ、ランドローバーは最低水準の評価となっている。