フェイスブックが迎える重大な転機 メッセージは「FBメッセンジャー」限定に

「メッセージは間もなく、メッセンジャーからでしか見られなくなります」というフェイスブックからの警告

現在、米国のフェイスブック利用者がウェブアプリでメッセージング機能を使おうとすると、次のような警告が表示される。「あなたの会話は全てメッセンジャーに移動されます。間もなくメッセンジャーでしかメッセージを確認することができなくなります」。

今のところは警告を無視して使い続けることができるが、いずれはメッセンジャーアプリをダウンロードするしか選択肢がなくなるため、ユーザーの心境は複雑だ。同社はこの夏、ウェブアプリのメッセージング機能を削除する予定だ。これに対して一部のユーザーはツイッター上で以下のように不満を表している。

「メッセンジャーがどうして別アプリでならなければならないのか納得がいかないからダウンロードしたくない」
「フェイスブックに私のアンドロイドにメッセンジャーアプリをダウンロードさせようとするのをやめてほしい。ブラウザが最高! アプリは絶対ダウンロードしない」
「メッセンジャーアプリの使用許諾を読んだけど、スマホの全データをコピーするのを許諾するのに等しい内容だ」

フェイスブックが2年前にメッセージング機能を別アプリ化した際、多くのユーザーが不満を述べた。しかし、マーク・ザッカーバーグはメッセージングの重要性が増す中、より優れたユーザー体験を提供するためには別アプリ化が必要だと説明した。

メッセンジャーアプリをダウンロードしていないユーザーは、何かしらの理由でアプリがダウンロードできないか、単純に拒んでいるかのいずれかだ。しかし、大多数のユーザーはメッセンジャーアプリを愛用しており、毎日9億人以上が数十億件のメッセージを送信している。しかも、メッセンジャーアプリは動画やスタンプのやり取りができるなど、ウェブアプリよりも機能が充実している。

フェイスブックメッセンジャーはユーザー数の急増に伴い、収益化の機会も増大している。フェイスブックは昨年、メッセンジャーを使ってブランド各社がユーザーと1対1でチャットできる機能を追加した。ブランド側はメッセージの中に「購入する」ボタンを設けるなど、コミュニケーションをカスタマイズすることが可能だ。そして今年4月には企業がチャットボットを使ってユーザーとの会話を自動化する「Bots for Messenger」を発表した。

Bots for Messengerを活用している企業の中には、花のネット販売を手掛ける「1-800-Flowers.com」やバーガーキング、エクスペディア、HPなどが含まれる。ユーザーは、これらの企業とメッセンジャーでやり取りをしながら商品を購入することができる。メッセージングを活用したカスタマーサポートは大きな事業可能性を秘めており、投資銀行のエバコアグループはその市場規模を40億ドルと推計している。

フェイスブックがメッセージの送受信をメッセンジャーアプリ限定にすることは同社の収益基盤をさらに強固にする試みと見られる。しかし、一部のユーザーからの反発は避けられない情勢だ。この施策が吉と出るか凶と出るか、今後の動向を注視したい。

編集=上田裕資

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