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モバイル業界のアジテーターとイノベーターに関する記事をカバー

WhatsAppの共同創業者ジャン・コウム David Ramos / gettyimages

ドイツで開かれたDLDカンファレンスで1月18日、メッセージアプリWhatsAppの共同創業者ジャン・コウムから重大ニュースの発表があった。

1)WhatsAppのアクティブユーザーは10億人の大台へ――2016年2月2日、WhatsAppはユーザー数10億人を達成したことを発表した。

2)WhatsAppは完全無料に移行する――現状では年額99セントを一部のユーザーから徴収しているが、2013年の収益は2000万ドル前後に過ぎず、運営費用をまかなうにはほど遠い額でしかなかった。むしろ大きかったのは2014年のフェイスブックによる買収額の190億ドル(前者のじつに950倍)で、おかげで完全無料化が実現できた。なお年額99セントの徴収は、米国や英国などクレジットカードによるモバイルアプリへの支払いが一般化している国では支障がなかったが、たとえばオランダなど、人口の半数がWhatsAppを使っていながらそうした支払いへの抵抗感が強い国ではうまくいっていなかった。

3)WhatsAppはこれから、サービスへの企業の取り込みに本腰を入れる――フェイスブックによる買収から2年か3年は、WhatsAppはユーザー数の拡大に専念するということでマーク・ザッカーバーグとWhatsAppの共同創業者ふたりは合意していた。しかし2014年の買収の翌々年が到来し、ユーザー数10億人(世界総人口のじつに七分の一!)が達成確実になったことで、WhatsAppはいよいよ企業の取り込みを開始し、企業への課金方法を模索することになった。

「WhatsAppは企業や団体と一般消費者を繋ぐツールの試用を今年から開始します。引き落としがもしかして詐欺ではなかったかと銀行にたずねたり、フライトの遅延について航空会社に確かめたりできるようになるわけです。現在、そうした要件にわたしたちはeメールや電話を利用していますが、WhatsAppでもっと簡単に、よけいな広告やスパムにわずらわされずに用を済ませられたらもっといいはずだと考え、そのためのツールの試用を始めることにしました。」

WhatsAppを利用したいという企業からの問い合わせは以前から数多く寄せられていた。ところが社内事情に詳しい人によれば、同社はそうした声に一切耳を傾けてこなかったという。

もっと手っ取り早いやり方でWhatsApp内にオンラインショップを開設しようとする企業もまた多かった。たとえば香港では、WhatsAppでレストランにテキストメッセージを送るだけで予約を済ませることも当たり前になってきている。また、BBCにテキストでニュースの情報提供をするようなこともできる。さらにロンドンには、結婚指輪の注文をWhatsAppで受けつける店すらある。

ただしそれらは、WhatsAppの通常の機能を利用しているだけのことで、企業が求めているのはデータ分析や、大量の顧客にメッセージを同時送信できること、それに自動応答機能といった専門的なサービスだった。ちなみに自動応答機能は「チャットボット」とも言われ、Facebookメッセンジャー、Kik、テレグラム、そしてとりわけWeChatで、企業向けツールとして広く使われるようになってきている。

最後に挙げたWeChatこそが、メッセージアプリに企業をいち早く取り込んだ先駆者なのだ。2013年から企業公式アカウントの受け入れを始め、順次機能を拡張することで、今では支払いや広告、そして自動応答のボットといった機能を提供するまでになった。

現在、WeChat(より正確に言えば、中国向けの「微信」)には1,000万件以上の公式アカウントがあり、そこにはマクドナルドから中国共産党までが含まれるのだという。WeChatのユーザー数は6億人を上回るが、そのうち80%前後の人が、少なくともひとつの公式アカウントをフォローしているのが現状だ。

そのようにWeChatは、企業の取り込みという点では欧米のメッセージアプリよりもはるかに先を行っている。

フェイスブックが「メッセンジャー」で企業向けサービスを開始すると最初に発表したのは2015年3月のことだが、その後ウーバーとも提携して、テキストメッセージで車を呼べるようにもなった。しかし、フェイスブックユーザーの大半は今のところ「メッセンジャー」を企業とのやり取りに利用するまでには至っておらず、このサービスから利益を得られるようになるのがいつで、どれほどの儲けが得られるのかは、いまだ不透明だ。

今月初めのTechCrunchの記事では、「メッセンジャー」内でチャットボットを作ることのできるデベロッパー向けのツールキットをフェイスブックが近くリリースすることが報じられていた。なお現状でボットの利用が盛んなメッセージアプリといえばカナダ発のKikで、バーガーキングなどの企業が10代を中心とするユーザーと自動応答のチャットでやり取りをしている。

まとめれば、WhatsAppには参考にできる先例が数多くあるということだ。WeChatが企業ユーザーに公式アカウントを提供したことや、Facebookメッセンジャーが提供予定のSDK(ソフトウェア開発キット)、そしてKikが提供し、70前後のブランドがマーケティングツールとして活用しているチャットボットのことだ。

WhatsAppの共同創業者ふたりがかなりの広告嫌いであることを考えれば、Kikが最初に導入したようなマーケティング主眼の機能にはおそらく手を出さず、WeChatのボットや広告機能からも距離をおいて、シンプルで機能を絞り込んだサービスをまずは打ち出すのではないだろうか。

WhatsAppがこの新たな試みからどれだけの利益を引き出すことができるのかは、同社が企業ユーザーにどの程度の額を課金し、どれだけ多くの企業を呼び寄せられるのかにかかっているのだ。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

 

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