「インターネットはみんなが思う以上に壊れている。毎日機能していることが不思議なくらいだ」と彼は話す。
インターネット上の不備に大きなビジネスチャンスを見出したジュニオは、DARPAの仲間3名とQadiumを立ち上げた。同社のビジネスは、インターネットに接続されたサーバーやルーター、防犯カメラ、発電所の制御システムなどの動作状況を監視し、悪意のあるハッカーよりも先に脆弱性を発見し顧客企業に報告することだ。
大物投資家ピーター・ティールも出資
同社はこのほど、大手ベンチャーキャピタルNEAのスコット・サンデルが主導したシリーズAラウンドで2000万ドルを調達した。フォーブスが独自に入手した情報によると、以前にはフェイスブックの取締役でもある大物投資家のピーター・ティールや大手ビッグデータ企業のPalantirから600万ドルのシードマネーを受け入れているという。サンデルもティールも、フォーブスが公表している「最も活躍したベンチャー投資家100人(Midas list)」リストの常連だ。
QadiumのCEOを務めるジュニオは現在32歳。テック系スタートアップのメッカであるサンフランシスコに在住している。CTOはマット・クラニングが、会長はショーン・マグワイアーがそれぞれ務めている。(前CEOで共同創業者のジョー・マイアーロウィッツは健康上の理由で退職している。)彼らは、自らを「IoTデバイスのグーグルストリートビュー」と称している。「マス・スキャンニング」と呼ばれるウェブスケールのセンシングを行う企業としては、これまでになく包括的で顧客重視のサービスが特徴だという。
過去3年間、Qadiumは世界中に分布したサーバーから膨大なデータを収集することに徹し、インターネットに接続した数億台分のデバイスのデータベースを構築した。同社が開発したIoTデバイスの検索エンジンとも言える「Expander」を使えば、これまで知らなかった自社のネットワークに関する情報や、ハッキングの脅威に晒されているデバイス、機能していないファイアウォール、許可していないソフトのインストールなどを把握することができる。対象顧客は政府機関や民間企業で、年間利用料は最大100万ドルだという。