ピーター・ティールも出資の「IoTのグーグル」Qadium社 創業者はCIA出身

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サイバー戦争のためには利用させない

ジュニオは、Qadiumがサイバー戦争のためのツールを提供するようになったら会社を去るという。「我々はアメリカ政府に限らず、あらゆる政府に対して絶対に行わないことを明確にしている。私がCEOの座にあり、共同創業者たちが会社を支配している限り、この方針は守り通すつもりだ。我々が会社の支配権を失い、新たなリーダーや株主が基本理念を変えようとすることがあれば、私は即座に辞める」と彼は話す。

Qadiumを巡っては、心配事がもう一つある。データベースの量が猛烈な勢いで増え続け、もうじきペタパイト規模に達するという中で、プライバシーの問題に注意を払う必要があるのだ。同社としては、個人宅のテレビや冷蔵庫などのIoTデバイスをむやみにインデックスしていると思われたくないところだ。直近のラウンドでQadiumに小規模の投資を行ったIonic Securityのアダム・ゲッティは、グーグルが世界一の検索エンジンになったときに直面した問題に似ていると指摘する。「グーグルとの違いは、個人よりも企業や政府がQadiumに対して懸念を抱くことだ」とゲッティは話す。プライバシー問題に対応するために、Qadiumはデジタル著作権の分野で著名な弁護士であるマルシア・ホフマンと契約を結んだ。

Qadiumのプラットフォームは、インフラベンダーが利用すれば顧客企業が他社にサービスを乗り換えたことを確認することができる。また、歴史検証において重要な役割を果たすことも可能だ。Qadiumは監視するデバイスのスナップショットを永久に保管することができるため、インターネット上の脆弱性が経年的にどれだけ解消されてきたかを検証することができる。これを使えば、例えば10年後に今と比較して、政府が国民の個人情報を保護するためにどれだけ尽力したか検証することができるのだ。

編集=上田裕資

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