ビジネス

2016.06.04

セブンイレブン鈴木前会長の「引退表明」をどう見るべきか

Photo by Koichi Kamoshida/Newsmakers


このようなやりとりは、地方の商工会議所などで頻繁に聞いてうんざりして、地方ってなかなかしんどいなあと思っていたけど、まさか東京のど真ん中でこのようなやりとりをしていたというのが残念である。

今回、セブン&アイの社外取締役に、先ほど紹介をした伊藤レポートの座長である伊藤邦雄一橋大大学院特任教授がいる。伊藤教授が鈴木会長の提案に「ノー」を言ったことが、結果的に鈴木氏の退任につながった。伊藤教授自身が伊藤レポートにおけるガバナンスの在り方の「範」を示したのである。今後はこのように社長人事において社外取締役がキャスティングボードを握るようなケースが増えていくだろう。

私は社長や役員人事に波風が立つことは「よいこと」だと考えている。今までは波風を立たせないことがよい経営だったが、これからは株主も巻き込んで大いに議論をし、適切な人を経営陣として選んでいく時代になっていくのだろう。セブン&アイの人事のゴタゴタについて、私はむしろ前向きなものとして捉えたい。そしてその際の社長人事の基本は次の3つ。

1. 株主の信頼、2. 顧客の信頼、3. 従業員の信頼

この3つの信頼を得られているかどうかがテストされていくのだろう。

文=藤野英人

この記事は 「Forbes JAPAN No.23 2016年6月号(2016/04/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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