閉じる

PICK UP

フォーブス ジャパン編集部 編集者

ABBALab社長 小笠原 治、nana music代表取締役CEO 文原明臣(photograph by Toru Hiraiwa)

文原明臣が創業したnana music(ナナミュージック)は、音楽コミュニティアプリ「nana」の開発・運営を行うスタートアップ。スマートフォンを使って、誰でも簡単に歌声や楽器演奏を録音・投稿でき、アプリ内で手軽に“コラボ”を楽しめるサービスを提供している。ユーザー数は100万人超、中・高校生が6割を占め、毎日7万曲以上が投稿されているという。

小笠原治は現在、IoT(モノのインターネット)関連のアクセラレーター「ABBALab」社長、さくらインターネットフェローを務めている。エンジェル投資家として、2013年に同社へ投資を行い、支援している。



小笠原:はじめて会ったのは、2012年初頭。僕の運営するシェアオフィスで毎月、MOVIDA JAPANの懇親会が開かれており、そこで話したのが最初。僕は音痴なので、正直やっていることに興味が湧かなかった。それから約1年後、そんなに関係性があったわけではないのに、「お金がなくなりました」とお金を借りにきたんです。

文原:しっかり小笠原さんとお話ししたのがはじめてというレベルでお金を貸していただきました(笑)。

小笠原:それからちょこちょこ借りにきて。文原さんが資金調達をした時に、返すのかなと思いきや、株に転換してくださいと。その時に少し追加したのが、はじめての投資になります。

なぜ、貸したのか。それは、文原さんの起業の動機です。「音楽を一緒にやる仲間ができなかった昔の自分を救いたい」。他の人を救いたいとかは“折れる理由”が沢山ありますが、自分を救いたいと言うのだから、やめないだろう、と。それに当時の「nana」はおっさんの演奏と10代の歌という世代を超えてソーシャルメディアでつながる珍しいタイプで、月次の数字も実際に伸びていましたから。

文原:起業の直接のきっかけは、「We Are The World 25 For Haiti YouTube Edition」というYouTubeの動画を見たことです。2010年に起きたハイチ地震の被害者を勇気づけようと、世界中の人たちがひとつの歌を歌い、その映像をつなげた動画でした。音楽で世界がひとつになるのは、素晴らしいと。だから現在では、音楽を通してコミュニケーションできる環境として、“リアルなイベント”も開催しています。

小笠原:文原さんは11年に起業してから4年以上が経過し、ミュージシャン、F1レーサーを目指してきたこれまでの経歴の中で、一番長く続けられることに出合っている。「自分の人生の中で集中すべきこと」を見つけているのがうらやましいなと思います。

それに僕の中では、起業家は外面がいいけど性格が悪いぐらいの方がいい。平気で嘘をつくけど、その嘘を本当にするための努力を人の10倍する、という人の方がいいと思っています。文原さんも人がよさそうですけど、絶対に本当は性格が悪いと思っていて(笑)。

文原:そんなことはないと思いますが(笑)。「nana」はいま、200万ユーザーが目の前に見えてきて、月次でも伸びています。だから今後は、この波に乗りたいと思っています。とはいえ、もともとの夢が音楽で世界をつなぐ-ということ。だから今後は、国内をしっかり成長させるとともに、海外展開もしていきたいです。海外ユーザーも現在の10%から伸ばして、文字通り世界中の人たちと音楽でつながれるようにしたいです。

小笠原:音痴でも歌えるアプリにしてほしい(笑)。僕みたいな歌が苦手な人でも参加したくなる-となって、はじめてユニバーサルなサービス。そういう世界観をつくってこそ「世界中の人とつながる」ということ。言った以上やってほしいですね。

おがさはら・おさむ◎ABBALab社長、さくらインターネットフェロー、経済産業省新ものづくり研究会委員。1971年、京都府生まれ。さくらインターネット共同ファウンダーを経て、ベンチャー企業の代表を歴任。現在は製造業を中心としたスタートアップ支援事業を軸に活動中。「DMM.make AKIBA」をはじめ、「DMM.make」の総合プロデューサーを務めた。

ふみはら・あきのり◎nana music代表取締役CEO。1985年、兵庫県生まれ。神戸高専機械工業科卒業。学生時代に独学で歌を学び、シンガーを目指すが卒業後、F1ドライバーを目指してモータースポーツの世界へ。2011年12月、26歳の時にnana musicを設立し、代表取締役CEOに就任。「みんなでつくる音楽祭nanaフェス」というリアルイベントも開催。

山本智之 = 構成 平岩 享 = 写真

あなたにおすすめ

合わせて読みたい