人口動態の変化に伴って、消費者の好みも進化している。複数の文化が入り混じり、さまざまな文化の食べ物や飲料、消費習慣が共有されている。これが最も顕著に見られるのが、アルコール飲料の世界だろう。
証券会社RBCは最近の分析で、飲料部門ほど消費者の好みに変化が見られたセクターはなかなかないと指摘した。消費者の好みはウォッカからウィスキーとテキーラへ。国内産ビールはクラフトビールや輸入ビールに市場シェアを奪われ続けている。それでも消費者の好みは今後まだまだ変化すると、主任アナリストのニック・モディは主張する。
ミレニアル世代の購買力が増し、国内のヒスパニック人口が増えるなか、彼らの消費習慣がやコンステレーション・ブランズ、ボストン・ビール(サミュエル・アダムズなど)、ブラウンフォーマン(ジャックダニエルなど)のような飲料会社の運命を左右することになると彼は報告書に書いている。
RBCの見解では、最も得をしそうなのは、この数年で複数の賢い買収を行ってきたコンステレーション。同社は2013年にはメキシコの人気ビールブランド、コロナやモデロを傘下におさめ、14年にはテキーラブランドのカサノブレを買収した。
「米国勢調査局によれば、ヒスパニック系が人口に占める割合は2000年には12.5%だったが、2020年までには18%に達すると推定される」とモディ。「コンステレーションにとって、これは追い風となるだろう」
現在、法的に飲酒が認められる年齢のヒスパニック系消費者は3,300万人。2045年までには、これが4,700万人に増えると予想されている。毎年150万人のペースで増える計算だ。
だが“追い風”の理由は、ヒスパニック系の消費者がメキシコ産ビールだけを飲むからではないとモディは指摘する。それよりも彼らの口コミによって人口のその他のセグメントに流行が起こるからだ。「ヒスパニックと多文化社会の影響によるこの流行は、メキシコからの輸入ビールの成長を促すだけでなく、米国の消費者の味の好みも広げることになる」