昨年、ウーバーはシカゴ大学ブースビジネススクールのクリス・ノスコ教授と組んでサージ・プライシングに関する研究論文を発表した。研究のテーマとなったのは、2年前の大晦日に生じたシステム上の欠陥による影響だ。このとき、ニューヨークでは26分間に渡ってサージ・プライシングが機能しなくなった。ノスコ教授は、サージ・プライシングを導入しなければ配車依頼から数分以内に車両が到着せず、ウーバーのサービスが機能不全に陥ると結論付けた。
その理屈はこうだ。通常、大きなイベントが発生してサージ・プライシングが作動すると、配車依頼が急激に減少してほぼ全てのユーザーが数分のETAで乗車することができる。しかし、ニューヨークでサージ・プライシングが機能しなかったときには需要が急増し、配車依頼の25%にしか対応できずにETAも大幅に延びたという。
チェンは、この他にも興味深いデータを明らかにした。それは、サージ・プライシングを示す倍数が切りの良い数字だとユーザーの反応がより顕著になるというものだ。「例えば倍数が1.9倍から2.0倍に切り替わったときと、1.8倍から1.9倍に切り替わったときを比較すると、前者の方が6倍も需要が落ち込む。料金の増額分は同じであるにも関わらず、ユーザーにとっては2.0倍と表示されたときの方がインパクトが強いことがわかった」とチェンは述べている。