その代表格として国内外で注目を浴びているのが、上海のスタートアップSquirrelzだ。アメリカ生まれ、上海在住のバニー・ヤンが2013年に創業した同社は、地球にやさしい繊維の卸売業者。地元のデザイナーが作ったエコグッズを扱う実店舗からスタートし、2年後にアメリカのEtsyに似たP2Pプラットフォームを立ち上げた。
それ以来、「中国初のエコフレンドリーなEコマース・スタートアップ」として話題を呼び、ワシントンDCに拠点を置く1776が昨年5月に主催したスタートアップ大会にも出場。ヤンはオバマ大統領に会う機会まで得た。
オバマとも会った米国生まれの中国女性が主催
今年3月、ヤンはさらに事業を拡大し、卸売のサイトを発足した。国内の繊維工場から安く買い取った余剰在庫や何らかの欠陥のある生地を、中国内外のデザイナーやブランドに向けて販売するサイトだ。現時点の商品数は1,200あまり。これは繊維工場とファッション業界のクリエイターをつなぐ試みであり、引いては消費者と衣料品をつなぐ試みでもある。
「Squirrelzが扱うのは、上海近郊および浙江省の環境意識の高い工場で作られた繊維です」とヤンは説明する。「現時点で該当する工場の数は決して多くありませんが、私たちが望んでいるものがそこにはあります。工場にとっては過剰在庫を換金できるまたとないチャンスです。そして新興ブランドの多くは、サステナブルな素材を求めています」
ヤンにとって想定外だったのは、卸売サイトの発足後、同社に積極的にアプローチしてきたのがアメリカや南米のアパレル系商社だったことだ。
「サイトに反応するのはデザイナーや小規模なブランドだと予想していたのです。Squirrelzではクリエイターのインスピレーション源になることを願って、また彼らに私たちが扱う高品質な生地の多様さを知ってもらうことを願って、様々な種類の生地や小物を取り揃えた『インスピレーション・パック』などの商品展開を行ってきました。とはいえ、大企業に興味を持ってもらえていることは安心材料になります」
最近2年の中国の年平均小売販売量増加率は8.8%である。プライスウォーターハウスクーパースの調査によると、2018年までに中国はアジアのファッション市場の3分の1を占める5000億ドル相当の衣料や靴を消費すると見られている。
「サステナブルな生地の背景にあるのは、生産時における環境負荷、資源の消費、環境汚染をできる限り減らしたいという願いです」とヤンは言う。「そのアイデアには誰しもが共感するのではないでしょうか」