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2016.04.26 08:00

倒産相次ぐ中国スタートアップ 調達額はピーク時の4割以下

Alexander Mak / Shutterstock

中国のスタートアップ企業らを乱気流が襲っている。昨年3月、アプリを介して消費者と自動車メンテナンス業者とを結ぶボーパイ(博湃)は、ベンチャーキャピタルの創新工場(Innovation Works)などから1,800万ドル(約20億円)を調達した。

しかし、その後ボーパイはO2O企業への投資ブームが沈静化する中で、経営破たんを宣言。上海のベンチャーキャピタルGobi Partnersのパートナー、ケン・シュー(徐晨)は「O2Oマーケットは波乱気味で、みな手を引いている」と語った。

中国のスタートアップに淘汰の波が起こっている。戦略コンサルファーム、ベイン・アンド・カンパニーによると、昨年の中国のベンチャーへの投資は前年比56%増の690億ドル(約7億7,000万円)を記録した。しかし、CB InsightsとKPMGは、今年に入ってスタートアップが調達した資金を40億ドル(約4,500万円)と試算する。それはピーク期の昨夏の39%にとどまる。

景況悪化で破綻するスタートアップが急増

「ヘルスケア、IoT、コンシューマーテクノロジー分野の企業は今後、評価を見直されることになるだろう」と指摘するのは、上海のベンチャーキャピタル啓明創投創業者のゲイリー・リーシェルだ。これらセクターのスタートアップの多くは激しい競争で利益を上げられず、資金難の状態にある。リーシェルは「ビジネスモデルがない企業はこれから淘汰される」と言い切った。

スーパーの商品配達代行Shequ001は2014年の資金調達で1億ドル(約112億円)を確保したが、利益を生み出せず2015年に経営破たんした。車両サービスのコアラバス(考拉班車)は昨年3月のサービス開始から半年足らずで営業を停止。米IDGが投資したカラオケ予約アプリ業者も2月に経営破たんした。

エグジットの道筋も混とんとしている。検討が進められてきたIPOの許可制から登録制への移行の動きも失速した。新興産業などを対象にした証券市場の新ボードの設立計画も膠着状態だ。

しかし、良質の投資先を探しているマネーはなお潤沢だ。地方政府やアリババ、テンセント(騰訊)などの企業投資家は戦略的に投資先を選別する段階に移行している。武漢市政府は102億元(約1,800億円)をバイオや情報技術といった戦略産業に投じる方針を発表し、中国政府は昨年12月、バイオテクノロジー、セミコンダクター、宇宙関連産業への投資をマネジメントする総額2,400億元(約4兆1,000億円)のファンドを30件以上立ち上げた。「中国は経済のけん引力を必要としており、投資家は産業のリーダーに喜んでお金を投じる」とシューは言う。

1月にテンセントが出資したローカルサービスサイトのメイトゥアン・ディエンピン(美団点評)と、中国政府系ファンド中国投資と中国平安保険から資金を調達した配車予約サービス、ディディ・クアイディ(滴滴快的、サービス名は滴滴出行)はその代表例だろう。両社ともマーケットシェアを確保するためにユーザー還元を続けており、今のところ利益を出せていない。しかしメイトゥアンは中国の団体購入マーケットの50%以上のシェアを、ディディ・クアイディは配車予約マーケットの80%のシェアを握り、その規模が資金調達を可能にしている。

今後、エンタープライズテクノロジー、データ分析のセクターに注力するというリーシェルは、「中国はこれらの分野で自身の技術を持っており、欧米から買う必要はないため、次世代で成長が期待できる」と説明した。

編集=上田裕資

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