同社が中国のマネージングディレクターに指名したのは、マイクロソフトとシスコで幹部を歴任したキャシー・チェン(Kathy Chen)。チェンがツイッターの広告主やパートナーの価値を高める職務を担うという以上のことは、現時点では明らかにされていない。ツイッターは既に昨年中国での広告募集に着手しており、チェンの指名はそれを強化する動きと読むことができる。チェンは香港に拠点を置いているようだが、今後は北京への移住も考えられる。
ツイッターはフェイスブックやグーグルと同様に中国でブロックされている。フェイスブックは中国でサービス開始を模索し、グーグルはグーグルプレイアプリストア中国バージョンの開設に動いていると伝えられる。ツイッターも2社と同じ道をたどろうとしているようだ。
経営不振の打開策との見方も
ツイッターはその人気とは裏腹に、継続的な利益モデルを確立していない。世界最大のインターネット市場である中国への進出を、打開策と捉えるのは自然だ。公共メディアを信じていない中国人はSNSを通じてニュースを入手する傾向が強く、欧米に比べてツイッターのようなSNSへの依存度も高い。
そのような環境は、ツイッターが2009年に遮断された後に、中国版ツイッターのウェイボー(微博)が急成長する原動力となった。ツイッターが昨年の第4四半期に9,000万ドル(約98億円)の損失を出した一方、ウェイボーは同じ時期に1,900万ドル(約21億円)の黒字を計上した。
ツイッターの前CEOのディック・カストロは2013年のIPO当時、「検閲の厳しい中国に参入するつもりはない」と明言した。2014年には上海の大学を訪問し、中国に対する姿勢の変化をうかがわせたが、その際も彼は政府の指導者に会うスケジュールは組まなかった。
しかし、カストロが昨年、業績不振の責任を取ってツイッターを去って以降、同社が中国戦略を再考していることが、今回の中国担当役員の任命で裏付けられた。
だが、ツイッターが中国でサービス開始間近と言うには早すぎるだろう。北京にオフィスを開設して2年近くになるフェイスブックは、CEOのザッカーバーグの積極的なロビー活動にもかかわらず、中国でのアクセス解禁には至っていない。フェイスブックは今後、現地パートナーとジョイントベンチャーを設立するとの観測もある。ツイッターも中国参入を望むなら、少なくとも2、3年をかけた懸命なロビー活動が必要になるだろう。