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フィリピンではゴミの投棄場がスラム化し、社会問題となっている (Photo by Jeoffrey Maitem/Getty Images)

今、世界でどのようなことが課題になっているのか。それを見ずして、新たなビジネスチャンスは生まれない。国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)」は、世界が2030年までに解決すべき課題を169項目において提示してくれている。その中に次世代の事業モデルのヒントが隠されていないだろうか—。

元国連職員でもあるデロイト トーマツ コンサルティング執行役員ディレクター、田瀬和夫に話を聞いた。

「フィリピン・マニラ市北部に『スモーキー・マウンテン』と呼ばれるゴミの投棄場があり、そのゴミから廃品回収を行って日銭を稼ぐ貧民が住み込み、スラム化しています。これに対しフィリピン政府は打つ手がなく、強制退去を促しています。従来このような課題解決は社会的コストと見られ、公共機関が扱うべきものだと見なされてきました。しかし、本当にそうでしょうか。今、そのゴミの山を分解する技術、そして更地にする技術は日本企業が有しています。そして『スモーキー・マウンテン』は、マニラ市の市街地に近い一等地に位置しているのです。ゴミの山を宝の山に変える—。商業的に投資価値がないと言えるでしょうか」

丸の内にあるデロイト トーマツ コンサルティングのオフィスの一室。田瀬は柔和な笑顔でそう語った。田瀬が国連を退職したのは、一昨年の5月。翌月からコンサルティング会社のディレクターとして全く異なるキャリアを歩み出したのには、理由があった。田瀬は、国連にて開発援助に携わり、ODAや国際機関拠出金の運用に携わってきた。しかし、税金を原資とする公共事業の予算はほぼ全てが「使い切り」で、事業の持続性に疑問が残った。

そこに民間の「利益」という概念が入ってこない限り、事業の持続的運営は起こりえないのではないかー。

思い切ってキャリアを転換した田瀬が今、注目するのが、昨年9月25日に国連で採択された「持続可能な開発のための目標(SDGs)」だ。これは、主に途上国への開発援助が目的だった「ミレニアム開発目標(MDGs)」をより一歩前に進め、環境問題を含めた2030年までの人類全体の行動計画として、先進国を含めた世界の課題を網羅するものだ。

「SDGsの169項目の中には、『交通事故の半減』や『収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる』など、公共政策だけでは、到底解決不可能で、企業・行政・非営利にかかわる多くのプレイヤー、または3つに精通したトライセクター・リーダーが参加しないと解けない『多次元方程式』の課題が含まれています」

また、これらの課題は193か国の首脳レベルが合意した文書であり、各国の政策、補助金はこれに合わせていくことが国際的に求められている。ビジネスチャンスとならないわけがない、と田瀬は語る。

さらに、日本の投資環境、企業の評価基準でも大きな動きがあった。SDGsの採択と時を同じくして、昨年9月に、141兆円という世界最大の資産を運用する年金積立金管理運用独立法人(GPIF)が、環境、社会、ガバナンス(ESG)の取り組みに優れた企業へ投資を行うESG投資の一貫として、国連責任投資原則(PRI)への署名を発表。相次いで他の日本の機関投資家もPRIへ署名するなど、公的資金以外による社会問題解決への投資の動きは加速している。

現代の経営者にとって、世界的な課題を知らないことはリスクにもなりうる。例えば、3次、4次サプライヤーにおいて「人権侵害」や「強制労働」が起きている場合、発注元の親会社に責任がある、というのが今の世界の見方だ。

田瀬は言う。「今、世界で何が課題になっているか、自分たちの企業は、その中でどの部分を解決、改善していける可能性があるのか。それを知ることが求められているのではないでしょうか」

解説:田瀬和夫 (元国連職員、デロイト トーマツ コンサルティング執行役員ディレクター)

 

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