何より大事なのは「文化」
ケナリ―は、企業の文化は日々醸成されていくものだと確信している。企業には通常存在する「分業制」が、ハープーンにはない。「これは私の仕事ではない」という考えを持って働く人は、すぐに辞めていくという。同社の文化が、そうした人に居心地の悪さを感じさせるためだ。
年に何度か開催する自社のフェスティバルが近づくと、従業員たちは前もって分担を決めることなく、準備のために自発的に集まり、自分ができることをする。行事が成功に終われば皆で、ビールで乾杯する。成功を共に祝うことは、ケナリ―が自社の文化を築くために取り入れてきた数多くの方法の一つだ。
ケナリ―の話から改めて気付かされることは、企業文化は経営者が「設置」するものではないということだ。リーダーは日々、文化を築いていくための努力を続ける必要がある。
「磁力」は統率力になる
その他の多くの企業と同様に、ハープーンにとってもここ数年、事業の成長促進に必要な有能な人材を集めることが難しくなってきている。ボストンのように生活費が高い都市部にある企業にとっては、必要なだけの人員をそろえるのは特に困難だ。
これについてケナリ―は、「従業員が自分の仕事を愛し、生活費が高い地域でも頑張ってくれるように、我々もできる限りのことをしている」と話す。高い生活費を払って暮らす苦労を十分に認識しており、そのことを決して軽くみてはいないのだ。従業員たちが何を必要としているのか、常に気にかけている。