ビールや利益よりも、まずは「人」
ケナリ―はビールも従業員も同様に、自社にとって重要なものと考えている。だが、どちらがより重要なのかと言えば、それは「人」だ。
「ここにいる皆がいなかったら、そして各自の仕事をしてくれなかったら、我々が今行っていることは何ひとつ実現できていなかった」、「我々が成功を収めるためには、すべてのものが機能していなくてはならない」という。
とはいえ、ケナリ―がビールづくりに多大な情熱を注いでいることも間違いない。
人生には、お金以上のものがある
金持ちだから言えることだ、と思われるかもしれない。実際のところ、大抵はそのとおりだ。
同社の共同創業者が事業から身を引きたいと言い出したとき、ケナリ―は新たなビジネスパートナーを迎えることにした。自社を大手に売却して大金を得ることも、別の出資者を探すこともできたはずだが、ケナリ―は従業員たちをパートナーにすることにした。従業員持株制度を導入し、自社の所有権の一部を従業員たちに持ってもらうことにしたのだ。
その理由としてケナリ―は、「従業員たちに、我が社の価値形成に全面的に貢献しているという意識を持ってもらいたかった」と説明すると共に、次のように語った。
「私が価値を見出すのは、地域社会に還元すること、周囲の人たちに対し、機会がなければ試そうともしなかっただろうことに挑戦する機会を提供することだ。従業員持株制度の採用は、私自身が重要だと考えるこうしたことを実行に移す機会だと思った」という。