タニウムはヒンダウィ親子が創業したセキュリティ企業で、これまでは71歳の父デービッドがCEOを務め、その息子で36歳のオリオンがCTOを務めてきた。そして2月中旬、デービッドが会長職に退き、息子のオリオンがCEOに就任することが明らかになった。
「父と私は会社設立以来、共同CEOとしてうまくやってきた。今後もそれが変わることはない」とオリオンはフォーブスに対して語った。
これまで急成長を遂げてきたタニウムの事業は成熟期を迎えており、今回のCEO交代はさらなる成長に向けた布石なのかもしれない。同社は、数千台もの端末の情報をリアルタイムで管理できるツールを開発し、競合する大手企業からシェアを奪い続けてきた。2015年の売上高は前年から200%以上増え、第4四半期だけで2014年の年間売上高を超えた。
社員数もこの一年で125人から340人に急増している。同社によると、ビジネスモデルを従来の永続ライセンス販売からSaaSモデルにシフトしたが、キャッシュフローは黒字を維持しているという。顧客企業には、ターゲット、JPモルガン・チェース、アマゾン、ベライゾンなどが含まれる。最近では、これまでで最高額となる年間1,000万ドルの契約をアメリカ空軍から獲得している。
タニウムの業績が絶好調なのに対し、上場企業である同業のFireEyeの株価は低迷しており、この一年で70%、今年だけで30%以上下落している。FireEyeのデイブ・デウォルトCEOは、2015年は大規模なハッキングが多発して多くの企業が対策費を投じたが、今年はその反動で業界全体が低成長に止まると述べている。
しかし、オリオンはこの意見に異を唱える。「我々は四半期としては過去最高の売上を記録した。この業界は、怠け者で無能な企業ばかりだ。ハッカーたちは昨年活発だったから今年は休むとでも言うのか。ハッキング技術は高度化し、ハッカーを捕まえるのが困難になってきている。顧客離れを防ぐためには最新の攻撃に防御できる技術を開発し続けなければならない」と彼はフォーブスに語っている。