ペンシルベニア州立大学のシャイアム・サンダー特別教授が率いる研究チームは先ごろ、州内にある高齢者施設で65~95歳の45人を対象とした聞き取り調査を実施した。同教授によると、研究の目的は「社会科学的な見地から、(高齢者が)どの程度ロボットを受け入れており、ロボットの役割をどのようなものだと考えているかを調べること」だった。ロボットが今後、いかに人間社会に溶け込んでいけるのかを明らかにしていく必要があるという。
調査に協力した高齢者たちは、手助けをする人や執事のような仕事をするロボットに好感を持っていることが分かった。そうしたロボットは情報を提供してくれ、双方向のやり取りができ、力を貸してくれ、楽しませてくれると答えた。しかし、一方では人間の指示によらず自律的に動くロボットに抵抗を感じており、人工知能の発達したロボットが人間の生活を支配できるようになることへの懸念を示した。
この結果についてサンダー教授は、「高齢者がロボットについて、受動的で人間に抵抗しない存在であってほしいと考えているのは明らかだ。友人としてのロボットがそばにいるのは構わないが、社会秩序がロボットに掌握される可能性に対して不安感を持っている」と説明した。
こうした高齢者たちの意識は、これまでに世界各地で行われた同様の調査結果とほぼ一致している。欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局が2015年に行った調査によると、EU加盟各国(ハンガリー、キプロス、ギリシャを除く)の国民の大多数は、ロボットを好意的にとらえていた。ただし、「基本的には肯定的」と答えた人の割合は、2012年に行われた同様の調査での70%から64%に低下していた。
回答者の85%は、ロボットは「人間には難しすぎたり、危険すぎたりする仕事をすればよい」答え、90%が「先端ロボットには慎重な取り扱いが必要」、70%が「人間の仕事が奪われるのが心配」と答えた。