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Photo by Albert Llop/Anadolu Agency/Getty Images

1月8日、マーク・ザッカーバーグは小児科で撮影した、生後間もない娘のマックスとのツーショット写真をフェイスブックに投稿した。

その写真には「お医者さんの所へ、ワクチン注射に来ました」とキャプションが添えられており、48時間後には300万人以上のフォロワーが「いいね!」をし、7万以上のコメントがついた。コメントの大半はザッカーバーグを支持するものだった。

しかし、これに色めき立ったのが「ワクチン反対派」の人々。ザッカーバーグに「どういう考えなのか説明しろ」と迫った。しかし、ザッカーバーグはすでに昨年の投稿で「ワクチンには効果があり、人々の健康に役立つことは科学的に明らかだ」と述べていた。

ワクチン反対派の主張は小児予防接種と自閉症に関連があるというものだ。かつて高名な医療雑誌がその件を掲載し、後に「研究結果は事実ではなかった」と発表したが、ワクチンの危険性を主張する声は根強い。

元プレイボーイモデルの女性が、はしかワクチンを接種したせいで息子が自閉症になったと発表したこともある。彼女は「私の息子が証拠よ」と主張し、その後ワクチン接種をしない子供が増え、はしかが大流行した。

研究者は、ワクチン反対派は「子供を守らなければならない」という感情に突き動かされており、科学的根拠を並べても効果が無いと言う。はしかや風疹、おたふく風邪に無防備なまま子供を放置するのは危険な行為だが、彼らの「ワクチンは危険だ」という妄想は、なかなか消し去ることが難しい。

「ワクチンを打つ」ことを、イギリスでは「ジャブ(ボクシングのパンチのように突く)」、アメリカでは「ショット(撃つ)」と言う。アメリカのノンフィクション作家ユーラ・ブリスは、「ワクチンを打つ」という言葉の持つメタファーが、不安や心配を引き起こしていると著書で語っている。恐怖を感じている人にとって、恐怖自体は現実なので「事実」だけでは払拭できない。ワクチンを接種していない子供が病気にかかった、という現実的な「ストーリー」でしか払拭できないのだ。

結果的に、ザッカーバーグが投稿した写真は、ワクチン反対運動に対する最も効果的な反撃だった。この手の運動の多くは感情的で、感情に対しては「事実」ではなく写真を添えた「ストーリー」で対抗するのが一番だからだ。

編集=的野裕子

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