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Photo by Mark Wilson/Getty Images

アメリカの空港が朽ちつつあり、崩壊し始めているものさえあることは誰もが知っていることだろう。ドナルト・トランプに言わせると、発展途上国の空港に近いらしい。そして、ついに全米土木学会(American Society of Civil Engineers)がAからFで評価する空港の成績表でアメリカの空港はDと判定されてしまった。議会はこの事実に対して対応が可能であり、対応するべきである。どうすればよいのかと言うと、連邦政府による航空券への課税を廃止して、地方自治体に空港の近代化に取り組めるだけの資金を集められるようにするのだ。そうすれば、連邦政府という中継が取り除かれ、納税者の支払った税金が直接新規の空港建設や既存の空港を現代にふさわしく刷新することに使われるようにできる。

ブルームバーク発表のウォールストリートのアナリストの予想等では、三大航空会社(デルタ航空、ユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングス、アメリカン航空グループ)はどこも数年来の好業績をあげる見込みとされている。ジェットブルー航空やヴァージン・アメリカも同様だ。燃料コストの下落に依る部分もあるが、増収には旅客数の増加や「付帯サービス収入」も貢献している。

地方新聞シカゴトリビューン紙のエド・パーキンスは、アメリカの従来型航空会社の収益に占める「付帯サービス収入」の比率がかなり大きくなっている、としている。この「付帯サービス収入」には、乗客を出発地から到着地まで輸送する行為を除くすべての活動からの収入が含まれる。例えば、ホテルへの紹介にかかる仲介料やチェックイン荷物の手数料などがそれだ。ちなみに、こうした付帯サービス収入については、国税局が収入として課税対象にしていない。実際に、旅費明細を見てみると、近年付帯サービス関連の金額が目立って増えていることに気付く。シカゴ・タイムズ紙の記事では、「アラスカ航空、アメリカン航空、デルタ航空、ハワイアン航空、サウスウェスト航空、ユナイテッド航空の付帯サービス収入の総額は180億ドル、あるいは総売り上げの11%に相当する」としている。売上に占める割合ではIdeaWorksが発表している2010年時点の4.6%の倍以上となっていることになる。また、記事では、チェックイン荷物の手数料が全売上の20%を占めるという話も紹介している。つまるところ、政府の課税方法のからくりで、旅客が小銭を巻き上げられまくられる構図が出来上がっているのだ。

今後数ヶ月で、議会では「米国連邦航空庁権限」法案(FAA法案)が審議される予定で、この法案が通れば、連邦航空税の課税方針を変更することができるようになる。連邦議会交通・インフラ委員会(House Transportation and Infrastructure Committee)委員長ビル・シュスター下院議員が、航空関連の税制改革を推し進めれば、航空旅行業界に自由競争の風を吹き込むことができるようになるのだ。FAA法案の成り行き次第では、航空会社が荷物やフライト変更にいちいち手数料をとって付帯サービス収入をあげることのメリットを無くしつつ、空港設備の刷新や改修が可能になるような税制ができるかもしれない。

航空旅行業界に自由経済の力が働くようにするために改革すべき法案や税金にはどのようなものがあるのだろうか。まずは1973年に制定された人頭税禁止法(Anti-Head Tax Act)で、これは空港へ到着あるいは空港から出発する旅客に対して、空港が課税することを禁じたものである。次に、連邦政府が国内便に課税している各種税金である。航空券上代に課される7.5%をはじめ、セグメント税の4ドル、9/11セキュリティ税5.6ドル、そして空港が課すことが許可されている上限4.5ドルの空港設備利用税がある。これを米国運輸省運輸統計局発表の2014年度アメリカ国内線平均運賃である391ドルに当てはめてみると43ドル少々となる。この金額単体で見るとさほど高額ではないが、2014年度の総旅客数がのべ6.628億人だったことを考えると巨額が動いていることがわかる。

人頭税禁止法の廃止と、全ての航空券に組み込まれている数々の税金の廃止、あるいは大幅な削減には、2つの重要な効果がある。まず、各地の空港が施設の刷新を行い、弱体化してしまったアメリカの空港を再び誇れるものにする財源を確保できるようにする課税システムを作ることが可能になる。現在、航空会社は施設利用料として4.5ドルを徴収することができるが、本来はあまねく航空券に課されている膨大な連邦税が拠出されている連邦空港改善計画(federal Airport Improvement Program)からも資金を受け取れることになっている。しかし、その資金の多くはムダにされて、効果的に空港に配分されていないのだ。ニューヨークのラガーディア空港の状態を見ればその結果は歴然である。

大統領候補のドナルド・トランプは、よくラガーディア空港をあげつらって「発展途上国のゴミ捨て場」と呼んでいる。理由はあまりに老朽化著しいからで、一般航空サービスの途に利用されている全米18,762ヶ所の空港施設の多くについても言えることだ。各地の空港に旅行客から料金を回収する権限を戻せば、連邦政府の中継というコストを省くことができるようになる。現在は、空港設備を改修したければFAAにひたすら頭を下げ続けなければ資金を手に入れることができないのだ。

次に、航空券に課されている高額の税金や手数料を完全に、あるいはほぼ撤廃すれば、航空会社が非課税の付帯サービスで大きな利益をあげようとするインセンティブが無くなる。航空券に高額の連邦政府の税金が課されているから、航空会社は非課税のチェックイン荷物やチケットの変更の手数料を高額にしてしまうのだ。航空券への課税を大幅に低くすることができれば、消費者にも、ひいては航空会社にも、短期的にも長期的にもメリットがある。なぜなら、コストが低くなれば、飛行機を利用した旅行を増加して、空港でも今まで以上にお金を落としてくれることになるからだ。

議会は、FAA関連事案の認可に関する法案を検討する際、業界の妨害となるのではなく、業界を後押しする刺激となる改革を検討する必要がある。下院議長のポール・ライヤンと連邦議会交通・インフラ委員会会長のビル・シュスターは、空港を近代的に刷新し、連邦政府による消費者の航空運賃への干渉を減らし、アメリカの空港が20世紀の遺物のような空港ばかりでなくなるような法律を作るチャンスを握っているのだ。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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