2020年9月に「才能を殺さないために」をスローガンとしたマネジメント/音楽レーベル「BMSG」を設立し、代表取締役CEOに就任した。
同年、私財1億円を投じたオーディション企画「THE FIRST」は話題を呼び、そこから誕生したボーイズグループ「BE:FIRST」はデビュー1年目から音楽チャートを席巻するなど目覚ましい活躍を見せている。
「音楽業界を変えたい」と立ち上がったSKY-HIの問題意識に迫る。
「10年前の自分と今の10代が同じ悩みを抱えていた」
——BMSG設立の背景には、アーティストとして15年間活動してきた中で感じたことがあるのでしょうか。起業すること自体は、高校時代からの夢ではありました。ただ、大きなきっかけになったのは2017年の日本武道館ライブ(『SKY-HI Tour 2017 Final "WELIVE" in BUDOKAN』)の少し前くらいのこと。
これまでの活動で積もり積もっていった”表に立つ”ことによるフラストレーションと、芸能という業界に感じていた問題意識がつながり、やりたいこととやるべきことが”自分だから出来る事”として合致したんです。
当時の自分は、「このまま自分の評価が上がり、ライブ会場の規模が大きくなっていっても、俺は幸せにならないな」「(アーティストとして)どのタイミングで辞めようかな」と思っていたぐらいでしたが、起業して生き永らえましたね(笑)
——なぜ会社を立ち上げようと考えたのですか。
きっかけは、キャリアを重ねるにつれて、若いアーティストたちが相談をしに来る機会が増えたこと。自宅に来ては「本当はこういうことしたいんです」と話していくのですが、どれも「わかる」「あるある」という内容ばかりでした。
たまたま自分は商業的な意味での成功も伴っていたので、不安やフラストレーションやトラウマを抱えながらもやってこれた。でも、相談に来た子の中には今現在、何しているかさえわからないような子もいて、そんな世界で自分が生き残ってこれた意味を考えました。
自分が若いころに抱えていた悩みと同じことを、今の10代もまだ抱えている。つまり、業界としてなんら改善されていないのは明らかに問題だと思ったのと同時に、それは今の自分にとっては解決可能な問題に感じられました。
スタートアップという形で、今までは日の目を見なかった才能を生かすことができるシーンをつくることで、それがムーブメントになってカルチャーになる。結果的に若い頃の自分と同じような悩みを抱える人は生まれにくくなるはず。一個人としてではなく、強い意志と理念と哲学を胸に「組織」として事業を行っていく必要性があると考えました。