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撮影=岩根愛

10月22日、ソフトバンクグループの孫正義社長と、その後継者に指名されたニケシュ・アローラ副社長が対談。同グループの後継者発掘・育成を目的としたセミナー「ソフトバンクアカデミア」の参加者らを前に、これからの時代の起業家像について語った。

冒頭のプレゼンテーションで孫氏は、「30年後にはコンピューターの知能が人間のIQの1万倍になる世界が到来する。ロボットが人間の社会を幸せにする」と発言。ここでは、その後、行われた対談の模様をお伝えする。



ニケシュ・アローラ(以下、ニケシュ):人間の1万倍のパワーのコンピューターって、誰がコントロールするんですか?

孫正義(以下、孫):コントロールは必要無い。プログラムも要らない。コンピューター自身が学習して自分で動くようになる。これからはコンピューターが色んなことを予測して、アドバイスをくれるようになる。でも、それは無視することもできるし、決して彼らに支配されるようになるわけじゃない。コンピューターと人間が共存しながら生きていく世界がやってくる。

ニケシュ:先日、ある企業のCEOに話を聞いた時、面白いことを言っていました。未来は食事も全部、サプリメントやエナジードリンクみたいなものに置き換わる、と。人間は今みたいな食事はとらなくなるんじゃないかと。

孫:そういう未来もあるかもしれないけど、テクノロジーの発展で余暇が生まれて、人間はもっと暮らしを楽しむようになる。家族や友人と楽しむディナーは無くならないと思うよ。

ニケシュ:EVの発展やドローンなど、交通の未来についてはどう考えていますか?

孫:四輪のクルマというのは無くならない。ただし、人間が操縦から離れて、現状よりも、もっと安全な自動運転が実現する。これからの人類はコンピューターというパートナーとともに暮らしを変えていく。例えばペッパーっていうロボットに「これ、やっといてね」って具合にね。



ニケシュ:ソフトバンクの今後についてはどう考えていますか?

孫:これからの300年を考えた場合、どういう組織にしていくのがベストか。30年後といったスケールの話ではなく、もっと長いスパンで考える必要がある。

ニケシュ:私が思うに、我々は今、歴史の転換点に立っている。テクノロジーの発展で誰でも起業できる時代になった。シリコンバレーに限らず、私の母国のインドでも続々とスタートアップ企業が生まれています。

孫:もっと昔、百年ぐらいさかのぼると自動車の発明というのがあった。ヘンリー・フォードが居たり、クライスラーが出てきたり、ゼネラル・モーターズが生まれたといった時代があった。

ニケシュ:そうなんです。いつの時代もその時代に応じたイノベーションが生まれてきた。私の考えとしては、ソフトバンクの未来のために、若い世代に投資をする。毎年ベストな起業家を見つけ出せば、その中から、次のイーロン・マスクやスティーブ・ジョブズが生まれるかもしれない。我々には資金があるし、孫さんの仲間にはジャック・マーや、ジェリー・ヤンといった偉大な企業家らが居ます。彼らをメンターとして紹介することもできる。



孫:まったくその通り。君が言うことは私の考えそのものだ。若く、情熱のある起業家を迎え入れ、後継者として育成していく。そして、彼らが独り立ちできるまで支援するんだ。

ニケシュ:私が孫さんと出会って1年半ほどになりますが、孫さんの若さと情熱にはいつも不思議な気分にさせられます。何がそのパワーの源なのでしょう?

孫:それはもちろん金儲けのためじゃない。もう金は十分に持っている。どうすれば社会をより良い方向に変えていけるかと考えている。もっとスマートなロボットをつくるにはどうすればいいか。賢いだけじゃなくて、いい心を持ったロボットにしたい。家族をハッピーにするような。

ニケシュ:ここ約10年でフェイスブックが出てきたり、テスラやウーバー、エアビーアンドビーといった具合に色んなイノベーションが起こっています。今後、進出したい分野は?

孫:医療分野にはITを活用したもっとスマートな治療やケアの発展の可能性がある。体調の管理もAIが発展すれば、ロボットがユーザーのスケジュールを把握して「明日は7時半に起きますか?」と聞くようになる。

ニケシュ:先ほどの話(冒頭の孫氏のプレゼン)で、30年後の人間は常に1千台のネットに接続されたデバイスに囲まれるようになる、という話もありましたね。

孫:身の回りの様々な製品、衣類や机や椅子といったあらゆるデバイスにセンサーが内蔵されるようになる。その個々が人の血流や体温といったデータを収集して、医療分野のビッグデータ活用が進んでいく。食事のカロリーを測ったりしなくても、デバイスが自動的に数値を測定し、警告を発してくれたりする。

ニケシュ:「今日はちょっと酒を飲み過ぎだぞ」ってロボットが警告してくれる時代も、もうすぐそこまで来てるんですね。

以下、後編へ続く。

取材・文=上田裕資 撮影=岩根愛

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