ホワイトハウスのレビット報道官は4月23日、トランプ米大統領の側近であるイーロン・マスクとスコット・ベッセント財務長官が「激しい口論になった」との報道について記者から問われた際に、それを否定せず、「意見の相違は『健全な議論のプロセスの一部』だ」と述べた。
ニュースサイトAxiosは23日、ベッセントとマスクが先週、ホワイトハウスで行われた米内国歳入庁(IRS)に関する会話の途中で、激しい言い争いになり、大統領や他の政府高官らもそれが聞こえる場所にいたと報じた。
レヴィット報道官は記者団に対し、「大統領のスタッフや閣僚の間で意見の相違があるのは当然のことで、それは健全な議論のプロセスの一部だと考えている。そして、最終的に決定を下すのがトランプ大統領だということは誰もが知っている」と語った。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)はこれに先立ち、ベッセントがトランプ大統領に対し、マスクが自身の承認を得ずにゲイリー・シャプリー(現在は解任されている)をIRSの長官代行に指名したことに不満を述べたと報じていた。
レヴィット報道官はNYTに対しても同様の声明を出し、「トランプ大統領が、我が国に影響を与える問題に関して情熱を持つ人々をチームに迎えたのは周知の事実だ。意見の不一致は、健全な政策決定プロセスにおいては通常起こり得る」と述べていた。
マスクとベッセントの口論についてある目撃者はAxiosに対し「中年のビリオネア2人がホワイトハウス西棟の廊下で格闘技のファイトをしているようだった」と語った(ベセントはフォーブスのビリオネアリストには入っていない)。別の目撃者は「すごい場面だった。大声だった。いや、本当に大声だった」と語っている。
マスクは、1月からトランプ政権の政府効率化省(DOGE)を監督する特別政府職員として活動しているが、彼が政権内で連邦職員の削減と歳出削減を進めていることには批判も出ている。調査会社チャレンジャー・グレイ&クリスマスの報告によると、DOGEの活動の開始以降の数カ月間で27の政府機関の約28万人がレイオフされたという。
DOGEによるレイオフは、複数の法的異議申し立てを引き起こし、数千人の職員が解雇を撤回されて職場に復帰した。マスクは3月に「我々は迅速に動いているので、間違いも起こすだろう。しかし、間違いもすぐに修正する」と語り、DOGEが抱える課題を認めていた。
マスクは22日、「トランプ政権での私の活動時間は来月から大幅に減る」と述べた。彼は、「今後は大統領が望む限り、また自分の働きが役に立つ限り、週に1~2日程度は引き続き政府に関与する」としつつ、テスラの業務により多くの時間を割くと明らかにした。テスラは22日に2021年以降で最悪となる四半期利益を発表した。