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2025.04.24 10:00

世界のPC市場で関税前の「駆け込み需要」鮮明、アップルは17%増

May James/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

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調査会社カウンターポイントは4月22日、2025年第1四半期の世界のパソコン出荷台数が、前年同期比で約6.7%増を記録したと発表した。最大の伸びを記録したアップルの出荷台数は17%増だった。

同社は、この背景にトランプ政権が発動した相互関税の影響で、消費者の間で駆け込み需要が高まったことが挙げられると指摘。ただし、第1四半期の購入者の中には、本来であれば第2四半期に購入していたはずのケースも含まれており、今後の見通しは必ずしも明るいとはいえない。

「今後の市場の競争で、各メーカーはサプライチェーンや製造拠点をどれだけ多様化できるかを問われることになる」とカウンターポイントのシニアアナリスト、ウィリアム・リーは述べている

今年第1四半期のPC出荷台数は6140万台で、前年同期の5750万台から増加した。アップルの市場シェアは、出荷台数の増加を受けて昨年の9%から10%に上昇した。

関税前の駆け込み需要の影響で、他のメーカーも出荷台数を伸ばしており、伸び率はアップルの17%増に続いて、レノボ(11%増)、ASUS(9%増)、HP(6%増)、デル(4%増)の順となった。また、出荷台数ベースのシェアは、1位のレノボが前年同期の24%から25%に上昇。2位以降はHP(21%)、デル(16%)、アップル(10%)、ASUS(6%)の順だった。

今後の主な課題は、PCの製造拠点の多くがトランプ政権による関税の影響を受ける中国に集中している点だ。現在、アップルは一部の製品を米国で製造しているが、その大半はMac Proで、テキサス州オースティンで組み立てが行われている。HPやデル、レノボも米国内で一部の製品の組み立てを行っている。さらにアップルは、Apple Intelligence向けのサーバーをヒューストンの新工場で製造する計画だ。

しかし、たとえ米国内で最終組み立てが行われたとしても、CPUやGPU、マザーボードといった高価な主要部品の多くは輸入品だ。さらに、これらの部品の製造拠点をベトナムやインド、メキシコに移したとしても、それらの国が関税から免除されるとは限らない。

「関税の引き上げや、あるいは政策の不透明さは、追加コストを懸念する消費者や企業が新たなデバイスの購入を控える要因となり、それが結果的に売上の伸びの抑制につながる」とカウンターポイントのアソシエイトディレクターであるデビッド・ナランホは述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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