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AI

2025.04.17 12:30

米議会が中国製AI「DeepSeek」の脅威を報告、中国のためにユーザーデータを収集と主張

Cheng Xin/Getty Images

Cheng Xin/Getty Images

米議会下院の超党派委員会は米国時間4月16日、中国の人工知能(AI)スタートアップDeepSeek(ディープシーク)が米国の国家安全保障に対して「深刻な脅威」をもたらしていると非難する報告書を公表した。ここ数カ月の間、国家安全保障上の懸念から同社のツールの禁止を求める動きが加速する中、この報告書はDeepSeekが「中国政府のためにユーザーデータを収集している」と主張している。

中国共産党に関する下院特別委員会の報告書によれば、DeepSeekは無害なAIチャットボットを装ってはいるが、実際にはユーザーデータを吸い上げて中国政府に提供しており、「米国の技術を盗用している」という。

同委員会は、DeepSeekの創業者の梁文峰(リャン・ウェンフォン)が、中国政府とつながりのあるハードウェア販売業者や中国の研究機関「之江実験室(Zhejiang Lab)」との統合されたエコシステムを通じて同社を統括していると主張している。

この報告書はまた、DeepSeekがAIモデルの訓練において「違法な手法」に依存している可能性が高く、開発コストを抑えるためにガードレール(安全装置)を回避してOpenAIのモデルを利用して「訓練データの変換」を行ったというOpenAIの証言を引用している。

DeepSeekはまた、「検索結果を密かに操作し、中国のプロパガンダに沿ったものにしている」と報告書は述べ、米国の輸出規制の対象であるエヌビディア製チップを使用していたと主張している。ただし、エヌビディア側は1月にCNBCに対し、「DeepSeekが使用しているチップはすべて輸出管理規制に準拠したものだ」と説明し、この主張を否定していた。

DeepSeekは非上場企業ではあるが、同社と創業者の梁は中国政府からの支援を受けているとされる。

梁は2月に習近平国家主席が開いた民間企業のトップとの会合に、アリババやテンセント、BYDなどの創業者と並んで出席したと報じられた。ニューヨーク・タイムズ紙は、この会談が、中国政府のDeepSeekに対する事実上の「お墨付き」だと報じ、同社のツールが一部の政府機関で使用されていると報じていた。

一方、サイバーセキュリティ企業のFeroot Securityは、AP通信の取材に対し、DeepSeekには「隠されたコード」が含まれており、ユーザーのログイン情報が中国移動通信(チャイナ・モバイル)に送信される可能性があると指摘した。チャイナ・モバイルは、中国軍との関係を理由に、米国内での事業を禁止されている。

下院の報告書は、DeepSeekの全面禁止を求めるものではないが、政府のデバイスで中国製のAIモデルを使用することを禁止し、輸出管理措置を強化するよう提言している。DeepSeekを連邦政府のデバイスから締め出す超党派の法案は2月に下院で提出済みだが、他の議員の支持を得られるかどうかはまだ不透明だ。

米国の一部の政府機関はDeepSeekへのアクセスを制限しており、米海軍はアプリに「安全保障と倫理上の懸念」があるとして使用を制限した。また、NASAの最高AI責任者も国家安全保障上のリスクを指摘。オーストラリア政府もDeepSeekに「国家安全保障上の容認できないリスク」があるとして政府デバイスでの利用を禁止した。イタリアや台湾、韓国の当局も同様の措置をとっている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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