中国の株式市場は4月3日、トランプ政権が中国への関税を最大54%に引き上げたことを受けて下落したが、わずかながら楽観的な兆しも浮上した。一部の投資家は、中国政府による追加の景気刺激策が、関税による逆風を和らげることを期待している。
3日のアジアの主要市場は、トランプ政権による相互関税の導入の発表を受けて下落した。しかし、中国を代表する株価指数のCSI300指数は、午前中に約1.1%下落したものの午後には反発し、0.6%安で取引を終えた。香港ハンセン指数は、午前中に最大2.2%安となったが、1.5%安で引けた。
トランプ政権の新たな関税は5日から施行される予定で、中国と香港からの800ドル(約11万7000円)以下の小口輸入品に対する関税免除措置(デミニミス・ルール)も廃止される。米国のベッセント財務長官が報復を控えるよう促したにもかかわらず、中国政府は「断固として対抗措置を講じる」と激しく反発した。
「市場は関税の導入に備えてきたし、逆風を相殺するための財政刺激策の可能性を見込んでいると思う」と、モーニングスターの株式アナリストであるカイ・ワンはコメントした。彼は、中国株指数の構成銘柄の一部は国内サービス業に関連しており、それらは関税の影響を受けにくい可能性があると指摘した。
英投資会社アバディーンでアジア株式の投資ディレクターを務めるシンヤオ・エンは、「関税の引き上げについてそれほど悲観していない」と主張している。多くの中国の上場企業は米国への依存度を抑えており、中国当局はさらなる経済刺激策を打ち出す可能性が高いと語る彼は、「私は年初から中国におけるエクスポージャーを国内消費関連にシフトさせてきたが、今回の出来事はその方向性が正しかったことを裏付けるものとなった」と述べている。
それでも今回の関税の引き上げは、一部の中国株にとって厳しいものとなった。香港市場に上場するアパレルメーカーの申洲国際集団控股(シェンジョウ・インターナショナル)の株価は、一時17.5%急落した。同社はスポーツウェアブランドを顧客とする企業で、売上高の17%が米国からだ。
モーニングスターのワンは2日発表したリサーチノートの中で、投資家は中国政府の今後の景気刺激策の恩恵を受ける銘柄に目を向けるよう勧めている。
「米国への直接的なエクスポージャーの観点から見ると、車載バッテリーや家電製品といった一部の製造業を除いた多くの業種は影響を受けない見通しだ。というのも、売上の95%以上が中国国内から来ているからだ」と彼はノートに記している。「ただし、これまで関税の影響を免れてきたベトナムやカンボジアにサプライチェーンを持つ一部のアパレルメーカーは、従来の予想よりも業績が悪化する可能性がある」と彼は指摘した。