韓国の現代自動車(ヒョンデ)グループは3月24日、米国での自動車生産能力を強化するため、今後4年間で210億ドル(約3兆1500億円)の投資を行なうことを発表した。
ホワイトハウスで行われた記者会見には、現代自動車グループの鄭義宣(チョン・ウィソン)会長がトランプ大統領とともに登壇し、同社としては過去最大となる米国への投資を発表した。この投資には、ルイジアナ州に新たに建設される製鉄所に総額58億ドル(約8710億円)を投じる計画が含まれる。この製鉄所は、アラバマ州およびジョージア州の現代自動車の工場に鋼材を供給するためのもので、1400人以上の雇用を創出予定とされる。
また、90億ドル(約1兆3500億円)は米国でのヒョンデや起亜、ジェネシスの各ブランドの生産能力を拡張するために投じられる。残りの投資は、自動運転やロボティクス、人工知能(AI)、次世代航空モビリティなどの分野における米国企業との戦略的パートナーシップに充てられる。
トランプ大統領は記者会見で、この投資が「私の政権による関税政策が海外の製造業者に米国での事業展開を促すことにつながったことの証拠だ」と誇示した。「資金がどんどん流れ込んできており、我々はそれを維持したい。この投資は、関税が非常に効果的であることを明確に示している」と同大統領は続けた。
トランプ大統領は4月2日に大規模な関税措置の発表を予定しているが、その中心となるのは米国が貿易相手国から受けている関税と同じ水準の関税を、輸入品に課す「相互関税」の方針だ。この計画には、自動車や半導体分野への関税が含まれる。トランプ政権はすでに、輸入されるすべての鉄鋼とアルミニウムに対して25%の関税を課している。
現代自動車は、今回の投資が約40年前に同社が米国市場に参入して以来行ってきた累計205億ドル(約3兆800億円)の投資に加わるものだと述べた。「これらすべての取り組みによって、米国におけるサプライチェーンの現地化を加速し、事業を拡大し、米国での雇用をさらに伸ばしていく」と現代自動車グループのチョン会長は記者会見で語った。
現代自動車は、トランプ政権の関税を回避するために米国への投資を強化する企業の1つだ。今月初めにトランプ大統領は、世界最大の半導体メーカーである台湾のTSMCが今後4年間で1000億ドル(約15兆円)を米国に投資し、生産能力を拡大する計画だと発表している。同大統領によると、この取引によってTSMCは、米国が輸入される半導体に課している25%以上の関税を回避することが可能になるという。