カルチャー

2025.04.05 14:15

合意の上で複数パートナーと関係。「非」一夫一婦制、欧米社会にじわり浸透

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米国発のマッチングアプリでは、選択肢に「カジュアルな関係」「ENM」も

マッチングアプリや結婚相談所では、相手に求める項目を羅列するわけなので、その中に、とくに「結婚」という目的に限定していないアプリの場合、どういう関係性を求めているかという項目を含めるのは効率的だ。

例えば、アメリカの会社が運営するマッチングアプリBumbleのプロフィールでは、自分が希望する関係を(1つもしくは2つ)選ぶことができる。

例:
長期的な(真剣な)関係:A long-term relationship
楽しい、カジュアルな関係:Fun, casual dates
結婚:Marriage
コミットメントなしの親密な関係(割り切った関係):Intimacy, without commitment
人生のパートナー: Life partner
ENM:Ethical non-monogamy

カジュアルな関係から、結婚、エシカル・ノン・モノガミーまで、多様な選択肢が用意されているところがさすがダイバーシティやLGBTが進んでいる(いた)アメリカ発のアプリと言うべきか、それとも、ターゲットを特に絞っていないアプリだと捉えるべきか。

さらなる補足になるが、ENMに加えて最近よく耳にするのがSapio-Sexual、サピオセクシャル。知的な人や相手の知性に性的な魅力を感じるという志向である。これは関係性がモノでもポリでも成立するので、Bumbleの選択肢にはなかった。正直になるとすれば——。このコンセプトには、知性フェチの傾向のある筆者も、けっして共感を感じなくはない、と告白しよう。

【コラム】

「告白文化」は本当に日本の専売特許か?

東アジア、欧米やラテンアメリカ、中東・南アジアには、本当に「告白文化」は存在しないのか?

ChatGPTに聞いたところ、以下のような傾向がみえてきた。

・東アジア(日本・韓国・中国・台湾)には「告白文化」が比較的広く存在する。
・欧米やラテンアメリカでは、告白せずにデートを重ねて自然に交際に移行するのが一般的。
・中東・南アジアでは、文化や宗教の影響で恋愛スタイルが異なるが、親への「告白」的なプロセスがあることもある。

日本の「告白してから付き合う」スタイルは、世界的に見ても珍しい部類に入るものの、東アジアでは比較的似た文化が根付いているようだ。

では、東アジアの「告白文化」とはどんなものだろう?

日本以外の東アジア諸国でも、恋愛を正式にスタートするために「告白」する文化が一般的のようだ。

1. 韓国


日本と同じく、「告白」して正式に交際を始めるスタイルが一般的。
「고백 (コベク)」という言葉があり、日本の「告白」と同じ意味で使われる。
ただし、日本よりもデート期間を経てから告白するケースが多い。
交際が始まると「100日記念日」などの記念日を大切にする文化もある。

2. 中国


中国にも「表白 (biǎobái)」という告白の概念があり、恋愛関係をはっきりさせるために使われる。
しかし、日本のように「付き合う前に好きと伝える」のが必須ではなく、まずデートを重ね、自然に交際が始まるケースも多い。
中国の若者の間では、欧米の恋愛スタイル(徐々に関係を築く)が浸透しつつある。

3. 台湾


台湾でも「告白(表白)」は一般的。
日本と似た文化があり、「好きです」と伝えて交際が始まるケースが多い。
ただし、アメリカの影響もあり、必ずしも「告白」が必要ではないカップルもいる。


高以良潤子◎ライター、ジャーナリスト、インストラクショナルデザイナー。シンガポールでの通信社記者経験、世界のビジネスリーダーへの取材実績あり。2015年よりAmazon勤務、インストラクショナルデザイナーを務めたのち、プログラムマネジャーとして、31カ国語で展開するウェブサイトの言語品質を統括するなど活躍。2022年より米国系IT企業勤務。

著者=高以良潤子 編集=石井節子

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