「エシカル・ノン・モノガミー」とはなんぞや?
モノガミーとは、一夫一婦制、私たち日本人が一般的と考えている夫婦やカップルの形である。「単一」を意味するモノ=Mono、という単語から来ている言葉だ。
それに対してポリガミーとは、一人が複数と結婚する関係性、日本でも昔あった正室、側室など、複数の「妻」と婚姻関係がある状態や、現代でもイスラム圏の国やモルモン教のコミュニティなどに見られる一夫多妻制などを指す。
また、ポリアモリーとは、複数のパートナーを、優劣をつけずに平等に愛する状態もしくはコンセプトを指す。複数の相手と付き合うという意味では不倫や浮気と同じなのでは?という疑問が湧くが、ポリアモリーの場合は、関係するすべての人に状況をオープンにして、合意の上に複数と関係を持つという点が異なる。ポリ=Poly、「モノ」に対して複数の、という意味だ。
そして、ENMとは、エシカル・ノン・モノガミーの略である。関係している人たちの合意をもって(=エシカル(Ethical)、倫理的な、道徳的に正しい)複数人と同時進行で恋愛や関係を持つこと、を指す。解釈にもよるのだが、ENMの中に、ポリアモリーやオープンリレーションシップも含まれる、という味方が一般的なようだ。

では、ENMの一つである「オープンリレーションシップ」とは何か。一番優先度が高い人をお互いだと認識した上で(例えば結婚している夫婦やお互いをボーイフレンド、ガールフレンドと認めているカップル)、お互いフリーに、相手以外の人と性的な関係を持ったりデートをしたりするコンセプトだ。
この関係性で特筆すべきは、ポリアモリーとは違い、特定の組み合わせが一番優先されるということ。例えば長年結婚している夫婦が、夫婦関係は継続したいけれども性的なパッションが失われているので、心理的、また夫婦としての法的な結びつきは担保したまま、結婚(もしくはカップル)の枠組みを超えて他の相手とデートしたり性的関係を持ったりすることを指す。カップルにもよるが、この場合は、枠組み外の相手に対して恋愛感情を持つことを良しとしない場合も多いようだ。
筆者の所感としては、新しい考え方ではあると思うけれども、都合の良いコンセプトだな(とくに夫婦関係「外」の存在として、恋愛感情は夫婦間で担保されてしまっている場合)、と思う。ただ、そういった割り切った関係のみを求めている同士であれば、うまくウィンウィンの関係として成立することもあるのだろう、と想像する。

個人的には、恋愛相手を探すときに、その人がストレートなのかゲイなのか、はたまた結婚しているのか彼氏彼女がいるのか以外に、その人がどういったスタンスの関係を求めているのかをより細かく把握したり質問したりしなければならないことに関しては正直めんどうなんじゃないかと思う。
阿吽の呼吸ではなく、スタンスを事細かく確認することは事務的でロマンティックさが薄まる、と感じるのは筆者の残り少ない乙女心か……。一方で、何事もコンセンサスやハラスメントにならないかが問題となる時代で、必要なチェック項目であるともいえるかもしれない。