北米

2025.03.28 12:00

トランプ関税は「テスラに追い風」も、GMとフォードには「逆風」に

Shutterstock.com

Shutterstock.com

トランプ米大統領が3月26日に発表した、米国が輸入する全ての自動車に25%の関税を課すという政策は、テスラにとって競合他社ほどの打撃にはならないと業界アナリストは見ている。

ドイツ銀行のアナリストであるエジソン・ユーは、テスラがフォードやゼネラルモーターズ(GM)、シボレー、ステランティスなどの老舗の自動車メーカーと比較して、「最も有利な立場にある」と26日の顧客向けノートで指摘した。

テスラは、これらの大手とは異なり、米国で販売する全ての電気自動車(EV)を米国内で組み立てており、トランプ政権の関税の影響を「最小限に抑えることができる」とユーは述べている。一方、「最も不利な立場にある」とされるのがGMで、JPモルガンのライアン・ブリンクマンによれば、同社は約40%の車両をカナダとメキシコから調達しており、新たな関税で140億ドル(約2兆1000億円)の収益を失う可能性があるという。

マスクは26日のX(旧ツイッター)の投稿で「テスラも無傷ではない。当社にとっても関税の影響は大きい」と述べた。

しかし、ドイツ銀行によれば、今回の関税で影響を受ける可能性があるテスラの輸入部品は、メキシコからのワイヤーハーネスのみで、ここから生じる価格の上昇は、1.8%程度のものだという。これは、フォードやGM、ステランティスが直面する5.8%以上の価格の上昇と比べるとごくわずかなものだ。

テスラと競合との違いは、27日の株式市場の動きにも現れた。テスラの株価はこの日、約0.4%高で取引を終えたが、GMは7%超、フォードは約4%下落した。さらに自動車部品メーカーのアプティブとボルグワーナーはともに約5%安となった。

「テスラは勝者となり、デトロイトは血を流した」とバーンスタインのアナリスト、ダニエル・レスカが率いるチームは27日に述べた。

とはいえ、マスクが主張するようにテスラも関税による打撃を完全に免れるわけではない。海外からの報復的な関税が発動されれば、すでに苦戦中の同社の事業がさらなる打撃を被ることになる。テスラの収益の51%は、米国外から生まれている。

一方、モルガン・スタンレーのアナリストを務めるアダム・ジョナスは、トランプ政権による25%の自動車関税で、米国内での平均的な自動車の価格が約6000ドル(約90万円)上昇すると27日に試算した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

タグ:

続きを読むには、会員登録(無料)が必要です

無料会員に登録すると、すべての記事が読み放題。
著者フォローなど便利な機能、限定プレゼントのご案内も!

会員の方はログイン

ForbesBrandVoice

人気記事