サービス

2025.03.28 09:30

グーグル、警察への対応をAIに任せようとして「二度手間」に

Shutterstock.com

Shutterstock.com

グーグルは、政府機関や法執行機関からのデータ開示要求への対応を迅速化するため、AI(人工知能)を活用しようとしている。しかし、その取組みは思惑通りに進んでいない。

グーグルは、世界中の警察機関から膨大な数のデータ開示を要求されており、その数は2024年の上半期だけで23万6000件にのぼる。同社の法的調査支援(LIS)チームは、裁判所命令や他のデータ開示要求に対するバックログを解消する上で、AIの活用に注目している。同チームの現・元メンバーによると、グーグルのエンジニアは裁判所命令や召喚状、その他の公的な要請を取り込み、LISのメンバーがレビューするための関連データを見つけるツールの開発に取り組んでいるという。

これが実現すれば、理論上はLISスタッフの作業スピードは大幅に改善される。しかし、この件に詳しいある情報筋によると、情報開示要請に対するバックログは数千件にのぼり、これらのツールは必要なタスクを遂行できていないという。

AIは、LISチームが行った作業に基づいて訓練をされたが、まだそれを再現できていない。それだけでなく、このモデルの開発を担当していた10人のエンジニアは解雇され、プロジェクトの今後は宙に浮いた状態だという。

あるスタッフは、AIがまだ配備されておらず、エンジニアの解雇はそれをさらに遅延させることになると指摘する。また、別のスタッフは、「現在利用しているツールをAIと呼ぶのは無理がある」と述べた。フォーブスが以前報じたように、AIが処理したリクエストは、法執行機関に開示する前にダブルチェックが必要で、多くの場合、人間の手でやり直されなければならず、かえって作業量が増えているのが実情だ。

グーグルは、今回の解雇に関するコメントを拒否している。また、法執行機関からの開示要請を管理するためにAIを活用しているかどうかについての質問にも答えなかった。同社の広報担当者であるアレックス・クラソフは、「法執行機関からの要請を受けたり評価する方法を変更することなく、より効率的に業務を行うための改善を継続していく」と述べるにとどまった。

次ページ > AIが問題を悪化させる

編集=上田裕資

タグ:

続きを読むには、会員登録(無料)が必要です

無料会員に登録すると、すべての記事が読み放題。
著者フォローなど便利な機能、限定プレゼントのご案内も!

会員の方はログイン

ForbesBrandVoice

人気記事